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業界

急増している業務のひとつである保険の「リスク モデリング」。保険会社が企業や個人のお客様に、迅速で価値の高いリスク モデリングをお届けするために、クラウドが支援

リスク モデリングにおけるビジネス価値の鍵は、スピードとキャパシティです。リスク モデルの実行スピードが上がれば上がるほど、また実行するシナリオ数が増えれば増えるほど、モデルの精度は向上します。しかし、使用頻度の少ない過剰なインフラを管理するのは効率が悪い―そこで効果を発揮するのが「クラウド」です。

Willis Towers Watson 社が行った最近のシミュレーションによると、世界の全人口に保険を掛けた場合の費用は約 190 兆ドル。これは、世界の GDP の約 2.5 倍 (標準偏差は同 GDP の約 15%) にあたります。Microsoft Azure クラウド プラットフォームで実行したこのシミュレーションの想定は、対象人口を 73 億人とし、1 人当たり 10 万ドル (約 1,000 万円) の終身保険を掛けた場合の費用を計算したもので、分析の所要時間は 2 時間未満でした。Microsoft Azure はこのレベルのパフォーマンスを、ソフトウェアやデータをすべてクラウドに保存する SaaS (Software as a Service) モデルでも、またはクラウド上でキャパシティを増やしたいときに拡張できる IaaS (Infrastructure as a Service) モデルでも、いずれでも実現できます。

このオンデマンド キャパシティが、価値提供のスピード、総所有コスト (TCO) に大きな差を生みます。たとえば、通常の使用コアが 2,000 個で、四半期から年に一度、リスク モデルの実行に 5,000 個のコアを必要とする保険会社の場合、必要なときにだけ、その余分なキャパシティに対する支払いをするほうが、はるかにコスト効率が高いはずです。顧客 1 人当たりの TCO 分析の結果、モデリングをオンサイトで実行し続けた場合のコストは年間 550 万ドルだったのに対し、同様の計算能力をクラウドで提供した場合は、グリッド拡張に必要なオンプレミスのサーバーなどへの先行投資が不要なため、わずか 170 万ドルでした。モデリング実行をサポートする計算能力を都度追加するほうが 45 ~ 65% 割安となります。クラウドの場合、お客様がインフラを管理することはありません。お客様はモデリングの実行時間をサポートする計算能力を利用するだけです。

さらに、G シリーズ ボックスが利用できるようになり、お客様は、最も複雑なモデルであってもその計算へ対応できるようになっています。マイクロソフトは、世界に 30 のリージョンを持ち、現時点でそのうち 22 がオンラインです。そのためお客様がリスク モデリングを実行したい場所に近いリージョンにある、ハイパフォーマンスなクラウドのコンピューティング グリッドで、世界中の保険会社をサポートします。

規制要件は、保険会社をクラウドに向かわせているもうひとつの要因です。この数年で直面した一部の深刻な問題をきっかけに、ソルベンシー II、ドッド フランク法、国際財務報告基準などの新しい標準ができ、保険会社はこれまで以上に頻繁に、より複雑なモデリングを実行しなければなりません。多くの保険会社にとって、これを実現するには、実稼働するまで 6 ~ 9 か月もかけて既存のインフラストラクチャを拡張するか、必要なキャパシティを増やす何らかの方法を模索する以外方法はありません。クラウドであれば、数分で新しい環境を用意でき、必要なときに、必要に応じてキャパシティを提供するので、保険会社はインフラ開発ではなく業務に集中することができます。

新たなビジネスの方法に取り組むうえで鍵となるのが「信頼」です。日常的にリスクを重視、評価する保険業界のような業界では、こうした種類の作業をクラウドで実行する際のリスクに注目することは当然です。「クラウドはセキュアか?」「規制要件を満たしているか?」「ユーザーのニーズに合致するか?」「品質は内製と同等またはそれ以上か?」―こうした質問を保険会社から頻繁に尋ねられます。

その答えは「はい」です。マイクロソフトは、規制当局と連携し、コンプライアンスに対処し、相応のセキュリティ基準にすべて準拠します。また、お客様による最初の規制評価を支援するために、Microsoft Azure のトラスト センターを通じて、マイクロソフトのクラウド サービスのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスに関する詳細情報を提供しています。ほとんどの場合、各企業のデータセンターよりマイクロソフトのほうがより厳格なセキュリティ基準/要件を課しているとご理解いただいています。金融業界のお客様がかかえる規制、プライバシー、セキュリティの各要件を踏まえて、マイクロソフトはこうしたお客様の要件に対処するために、コンプライアンス プログラムを構築してきました。

早い段階からクラウドを採用しているお客様は、クラウドがもたらすビジネス変革の効果を実感しています。また、リスク モデリングの用途にクラウドを検討しているお客様の数も増加の一途をたどっています。なかには、SaaS モデルを選択し、社内管理の異種システムとの統合ではなく、クラウドでリスク モデリング プロセス全体を管理できるソリューションを選択する企業もあります。Cortana Analytics や Power BI などを利用すれば、カタストロフィー (異常災害) リスク モデリングを行うための強力なマッピングの可視化と分析を利用でき、ひいては、損失を最小化し、有事の際の請求量を管理するための対策を講じることができるなど、企業は多くの場合、クラウドでも既存のテクノロジー投資を活用できることをご理解いただきます。

ダウンロードして詳細を見る: マイクロソフトの保険リスク モデリングの展望 (英語) 新しいウィンドウで開きます

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