銀行のロビーでスマートフォンを操作する男性

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北米・カナダの大手金融グループである TD Bankグループ (以下、TD) は、2019 年 4 月 23 日にマイクロソフトと戦略的パートナーシップを締結しました。TD が Microsoft Azure をクラウド基盤として使用し、データや AI リソースへの安全で俊敏かつ柔軟なアクセスを目的に設計されたツールを技術チームや設計チームに提供するというのが主な提携の内容です。

さらに、2022 年 1 月 26 日には、TD が持つデータ サービス群を Microsoft Azureのデータサービス群へと移行する ことを発表しました。Azure および Databricks を活用し、同社の顧客体験をさらに強化・進化させ、新しい商品開発をサポートするプラットフォームやツールを充実させることが目的です。

さらに、同社は 2022 年 4 月 26 日に、米国の南フロリダに DX を加速するための “テックハブ” を設置し、イノベーションとカスタマー デリバリー能力を強化することを発表しました。

TD のプラットフォーム & テクノロジー担当上級副社長であるグレッグ・キーリー氏は、「私たちは、当行の全拠点のテクノロジ チームとともに、お客様にサービスを提供し、急速に変化するお客様の期待に応えるため、俊敏性やイノベーション、スピードアップの推進に取り組んでいます。」とコメントしています。

このように、TD は大手金融グループの中ではクラウドや AI といった先端テクノロジの取り込みに非常に急進的な姿勢を持つことで知られています。

同社は最近、新しいテクノロジを活用して革新的な顧客ソリューションを実現したことで、Global Finance から 3 年連続で「Most Innovative Digital Bank in North America」、2 年連続で AI を活用したソリューションで「Celent Model Bank」に選出されるなど、複数の賞を受賞しています。また、8 年連続でダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックスに掲載され、今年はワールド・インデックスの北米拠点の銀行として最上位にランクインしています。

85,000 人の従業員と、米国とカナダに 2,600 万人以上の顧客を抱える TD のような大手金融機関が、なぜこれほどまでにイノベーションに先端的に取り組めるのでしょうか?

1 つは、社員のデジタル人材としての育成に本腰を入れていることが挙げられます。TD は、新規および既存の人材の成長を支援するため、社員のスキルと能力に継続的に投資し、Azure・クラウド・DevOps 技術など、部門を超えてグローバルに使用されている新技術や業界標準ツールに取り組む機会を社員に提供しています。

例えば、TD とマイクロソフトの強力な協力関係や Enterprise Skills Initiative プログラムを通じて、TD の社員 822 名がスキルセットの幅を広げ、Azure の認定を受けました。このようなスキルアップへの取り組みにより、TD の社員は社内からキャリアと経験を伸ばしていくことができます。

もう 1 つ重要な要素として「イノベーションを起こすための文化」が同社にあることが挙げられるでしょう。

同社は、独自のカルチャーと包括的な環境でリードし続け、最近ではフォーブス誌による「2021 年世界で最も働きがいのある企業」にも選ばれています。

テック企業でのキャリアを持ち、現在は同社のグローバルイノベーション部門を統括する Thomas 氏によると、同社の文化の枠組みには、”イノベーション” の “I” は “私” であるという考え方があるとしています。つまり、イノベーションは全社的な精神そのものであり、様々な障害を乗り越える大きな力になるという説明をしています。

イノベーションとは、最新の技術に手当たり次第に手を出すことではありません。Thomas 氏は、「銀行のような組織では、新しいアイデアや技術について話すために 40 人を部屋に連れてきても、そのうち 38 人はなぜそれがうまくいかないのかを話すだろう」と言っています。つまり、アイデアや技術に着目するのでなく、まずは顧客の課題に真摯に向き合い、それを解決するためにイノベーションに取り組むという、ある意味基本的な所に立ち戻るべきだとしています。

積極的に行動し、顧客のニーズに応えること。そうすることで、遠回りに思えるかもしれませんが、長い道のりを歩むことができるというわけです。

こうした文化を持つ TD は現在、デジタルチャネルにおける “超パーソナライゼーション” に力を入れています。

TD の Chief Digital and Payments Officer である Khalfan 氏は、「デジタルでつながった世界において、私たちはどのようにお客様をサポートできるかをこれまでとは異なる方法で考え、お客様が安心して金融の意思決定を行えるよう、高度にパーソナライズしたデジタル体験を創造しています」と述べています。

1 例として、TD のモバイル アプリは、AI を活用したデジタル ナッジを提供しています。残高不足の予測、政府の救済プログラムの利用を検討した方が良いかどうか、今後の定期的な請求に関する通知など、顧客にパーソナライズされ文脈に応じたプロアクティブなインサイトを提供しています。

また、会話型 AI を使用して、お客様が財務に関する情報を得たり、よくある質問にアクセスできるようにする仮想アシスタント “TD Clari” を開発し、米国顧客向けのモバイル アプリ内で実装しました。

「私たちは、お客様 1 人 1 人がユニークな事情を抱えていることを理解しており、適切な洞察とサポートでお客様を導き、お客様が決断する力を感じられるようなツールを提供したいと考えています」と Khalfan 氏は述べています。

コロナ禍で顧客がよりデジタルにシフトする中で、同社のデジタル・セルフ サービスを強化する顧客戦略は少なくとも 2 年早まりました。その勢いは今後、緩まるどころかますます加速することになるでしょう。マイクロソフトはこれからも、TD のデジタル変革を強力に支援していきます。