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業界

裁判所の民事訴訟手続きの IT 化において Microsoft Teams を採用

時間と場所にとらわれないコラボレーションで

裁判の迅速化と負担軽減を実現

最高裁判所のエントランス風景

最高裁判所 が推進する、民事訴訟手続きの IT 化において、マイクソフトのクラウドサービス「Office 365」のコラボレーションツール「Microsoft Teams (マイクロソフト チームズ)」が採用されました。2020 年 2 月から 9 か所、2020 年 5 月頃から 5 か所の裁判所で取り扱われる民事訴訟事件の争点整理から Teams が活用されることになります。民事訴訟事件の争点整理で、Teams が活用されるのは世界初となります。

 

目次

 

1. 民事訴訟IT化と日本行政の動き

日本の行政の動き:

迅速な裁判への効率化、そして民事裁判を国民にとってもっと利用しやすいものにするために、裁判手続きIT化の有効性・重要性はこれまでも指摘されてきました。近年の様々な分野におけるIT化の進展と取り組み、民事裁判をめぐる諸情勢から、そのニーズは、ますます高まっています。

日本における裁判手続き等のIT化は、平成 8 年に成立した現行民事訴訟法を機に、民事訴訟手続における電話会議システムやテレビ会議システムの利用・運用が始まり、現在に至ります。また、その後の司法制度改革においても、訴訟手続等へのITの積極的利用が指摘がされ、平成 16 年の民事訴訟法改正で、オンライン申し立て等を可能とする規定が設けられました。これによって、平成 18 年に「督促手続オンラインシステム」が導入されるなど、利用者の利便性を向上するために、より一層のIT技術の活用が図られてきました。

しかし、民事訴訟におけるオンライン申し立て等の試行を実施したものの、利用実績に乏しかったことから、現状では、オンラインでの訴え提起や書面提出をすることができない状況に。また、テレビ会議システムの利用も、利用環境の制約もあり、それほど活発化していない状況にありました。

一方、諸外国の状況に目を向けると、欧米を中心に裁判手続等のIT化が既に進められており、アメリカ、シンガポール、韓国等では、IT化した裁判手続等の運用が広く普及・定着しているほか、ドイツ等でも、近年、IT化の本格的取組みが着実に進展しています。

日本においても、「利用者目線に立った裁判手続のIT化」を求める声が高まりつつありました。

このような状況の下、日本政府は平成29年6月9日閣議決された「未来投資戦略2017」で、「迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障や情報セキュリティ面を含む総合的な観点から、関係機関等の協力を得て利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論を得る。」との方針が出され、これを受けて、平成29年10月に「裁判手続等のIT化検討会」が設置され、 3つの内容のIT化が進められることになりました。

訴訟システムの近未来ロードマップ

「民事訴訟  IT 化 」 これまでの経緯

 

利用者のニーズや諸外国の状況等を踏まえた、3つのアプローチ:

e提出(e-Filing)について

利用者目線にたち、紙ベースの裁判書類を裁判所に持参・郵送等する現行の取扱いに代えて、24時間365日利用可能なオンライン提出へ移行し、一本化していく(訴訟記録について紙媒体を併存させない)。

e事件管理(e-Case Management)について

裁判所が管理する事件記録や事件情報について、訴訟当事者本人や訴訟代理人が、いつもでも容易に、訴状、答弁書その他の準備書面、証拠等の電子情報にオンラインでアクセスすることが可能になる。期日の進捗状況も確認できる仕組みも構築。これにより、裁判手続の透明性も高まり、当事者本人や代理人が紙ベースの訴訟記録を自ら持参・保管等する負担から解放される。

e法廷(e-Court)について

当事者等の裁判所への出頭の時間的・経済的負担を軽減するため、また、期日にメリハリを付けて審理の充実度を高めるため、民事訴訟手続の全体を通じて、テレビ会議やウェブ会議の活用を大幅に拡大させる。

プロセス:

フェーズ1

法改正を要することなく現行法の下で、IT機器の整備や試行等の環境整備により実現可能となるものについて、速やかに実現を図っていく。例えば、電話会議に加えてウェブ会議等のITツールを積極的に利用したより効果的・効率的な争点整理の試行・運用を開始して、その拡大・定着を図っていく(e法廷の先行実現の一環)。

フェーズ2

関係法令の改正により初めて実現可能となるものについて、所要の法整備を行い、直ちに制度的実現を図っていくこと。具体的には、民事訴訟法等の見直しを行い、例えば、双方当事者の出頭を要しない第1回期日や弁論準備手続期日等の新たな運用を制度的に位置付け、その運用を開始すること。

《フェーズ3》

関係法令の改正とともにシステム・ITサポート等の環境整備を実施した上で、オンライン申立てへの移行等を図る。

訴訟システムのクラウド移行フェーズ

裁判手続きIT化 「3つのe」に向けたアプローチとプロセス

 

2. 民事裁判の従来の課題と問題

これまでの民事訴訟手続きの争点整理手続においても、当事者が遠隔地に居住しているなどの理由がある場合に限って、電話会議やテレビ会議システムを利用することができました。

しかし、

  • 電話会議では当事者や裁判官が互いに表情等を見ることができない
  • テレビ会議システムを利用する場合、裁判所間でしか接続できないため、当事者は最寄りの裁判所までは出頭しなければならない
  • 電話会議やテレビ会議では、裁判官と両当事者が同じ書面や図面を見ながら協議することが難しい

といった制約もあり、電話会議やテレビ会議システムの利用は活発とは言えませんでした。

また、遠隔地間における訴訟は、当事者や代理人の移動時間や出張費用などの負担に加え、裁判所と当事者等との日程調整も難しく、期日が先延ばしされることもありました。

 

3. Microsoft Teams の利用で民事裁判の何が変わる?

今回のTeams の導入は、裁判手続きのIT化を実現するための フェーズ1の取り組みになります。

Teams を使うことによって、裁判の関係者は、場所にとらわれることなく、争点を確認、議論できるようになります。

■ Microsoft Teams の活用メリット

  • Teams の Web 会議機能を使えば、訴訟関係者が同じ場所に集まることなく、弁護士事務所などからでも争点整理に参加できる。もちろん、当事者は裁判所に出頭する必要がない
  • 裁判官、当事者が互いの顔の表情を見ながら争点整理をすることができる
  • Teams の資料共有や同時編集の機能を使えば、裁判所が作成した「争点整理案」の骨子に双方が主張を書き込んで 1 つの書類を完成させることができる
  • Teams の画面共有を利用すれば、関係者全員が同じ場所にいるかのように、争点整理に必要な資料を同時に閲覧し、争点を確認・議論・協議できる

■ Microsoft Teams を活用することで期待される効果

  • Web会議を利用することで、移動時間を考慮せずに争点整理手続のための期日が設定でき、結果的に裁判期間の短縮に繋がる
  • 裁判関係者が遠方へ出張する必要が無くなり、当事者や弁護士の移動にかかる時間や出張費用を節約できる
  • Teams の利用を契機に民事訴訟のプラクティスの必要な見直しが期待でき、より効果的で充実した争点整理を実現できる

従来のTEAMS運用イメージ

民事訴訟事件の争点整理における Teams の活用イメージ

 

4. Microsoft Teamsとは

Microsoft Teams は、「Office 365」においてチームワークを実現するためのコラボレーションハブとして機能するアプリとして、世界で毎日 2,000 万人以上に利用されています。Teams は、チャットによる会話、資料の共有や同時編集、Web 会議や企業向け電話機能、各種アプリ連携が可能なため、時間や場所にとらわれないリモートワークやテレワークによる、法人の働き方改革やデジタル変革の実現に欠かせないコラボレーションツールとなっています。

今後のTEAMS運用イメージ

 

Office 365 でチームワークを実現するハブ – Microsoft Teams

TEAMSの活用領域チャート

1 : Office 365 との連携で、情報共有や業務分担がスムーズに

Word、Excel、PowerPoint など使い慣れた Office ファイルを Teams 上で直接表示や編集でき、ブックマーク機能で簡単にアクセス。1 つのファイルを複数人で同時に編集する共同作業もすぐに始められます。

スマホで仕事をする様子

2:時間や場所にしばられない、効率的な打合せや会議スタイル

移動中や外出先からでも、ビデオ通話や音声通話機能を使えば、PC やスマートフォン経由で会議に参加することができます。会議中にシェアされたメモやファイルも会議履歴として残り、途中参加しても前後の文脈を容易に理解できます。テレワークにも最適です。

高レベルセキュリティに防御されたオフィスビル

3:高いセキュリティ環境で、安心して使える

Microsoft Teams を含む Office 365 サービスは、東日本、西日本の 2 リージョンのデータセンターから提供されます。※ 国内にデータ保管することをパブリッククラウド利用の要件とされることが多い金融や官公庁などのお客様も業界規制等に沿った運用が可能になります。

 

5. Microsoft 365 / Teams 製品関連リソースのご案内

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