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業界

産業機械メーカー Bühler と マイクロソフト、デジタル化の 未来に向け提携

The Switzerland-based Bühler Group
※本ブログは、米国時間 2019 年 7 月 1 日に公開された ”Industrial firm Bühler partners with Microsoft to forge a digital future” の抄訳です。

スイスを拠点とする Bühler グループは、食品加工や金型鋳造で使用される高性能マシンの製造で世界をリードする企業です。この記事を読まれている皆さまは、おそらく Bühler 社製のマシンで加工されたパスタや食品を口にしたことや、Bühler 社製の機械で鋳造された部品を使用し、生産されたクルマに乗ったことがあるでしょう。最近の Bühler のイノベーションには、低エネルギー電子線を用いた食品の殺菌処理や、省エネでありながらスクラップを大幅に削減できる金型鋳造機などがあります。

とはいえ、他のグローバル企業と同じく、Bühler も移り変わる競争環境や進化する顧客ニーズに直面しています。そこで Bühler は、これらの課題に対応するために自社の変革に乗り出しました。「デジタル化はまさに当社が注力すべき取り組みです」と、Bühler の最高デジタル責任者である Stuart Bashford 氏は言います。「食品加工でも、金型鋳造でも、競争の流れは魅力的な新製品をお客様に提供できるソフトウェア企業へと向いていることは明らかです。競争力を維持するには、このデジタル ゲームに参加する必要があります。」

小さな変更が大きな結果を生む

同社の目標は、ある意味 1860 年に始まったとも言える産業的思考を持つ産業機械メーカーから、クラウド、モノのインターネット (IoT)、人工知能 (AI) を利用してより良い製品と幅広い革新的サービスを提供するテクノロジ リーダーへと転身することです。

それは野心的な目標ですが、トップダウンとボトムアップの意思決定によって生まれたものでもあります。Bashford 氏はその経緯を次のように話します。「2 年半ほど前になるかと思いますが、当社の CEO (Stefan Scheiber 氏) が全部門長に対して 9 か月で AI か IoT を使ったデジタル サービスを提案するよう指示したのです。非常に伝統的なスイス企業にとって、このような改革を 9 か月で行うのはかなり挑戦的だといえます。しかし CEO はそれを求め、8 つの事業部門がそれに応えた。彼らが提案したアイデアのいくつかは既に製品化され、販売されています。」

デジタル化に舵を切ることで、Bühler は一見些細に思われるような、しかし顧客にとっては大きな結果を生み出す変更をプロセスに対し行うことができました。食品加工では、生産効率が 90% 前後の企業が効率を 1 ~ 2% 向上させることに貢献しています。これは、数十万ドル規模の増益につながり得る数字です。一方、金型鋳造では、Bühler の「Digital Cell」構想に基づくマシンが、40 分ごとに (破損を取り除くために) 作業を停止させるという業界の標準を覆し、鋳造機 1 台あたり年間 20 万ユーロのコスト削減を可能にしています。これは、金型鋳造において、より効率的で収益性の高い、明るい業界の未来に向け、ゼロ スクラップ、40% のサイクル時間短縮、24 時間稼働を目標に掲げる、Bühler の「Digital Cell」構想にとって重要なマイルストーンです。

製品管理担当ディレクターの Marcello Fabbroni 氏は、次のように振り返ります。「以前は、マシンが故障してもその原因を突き止めることが困難でした。制御装置でいくつかの点を確認できたとしても、たいていはオペレーターがセルを見回って問題を見つけなければなりません。そのためには、マシン全体を停止して、検査した後、すべてのコンポーネントを開始位置に戻す必要があったため、非常に時間がかかります。これまではワンクリックで済むソリューションなどなかったのです。」

Bühler はそのデジタル構想の実現に向け、マイクロソフトと提携しました。その結果、生産業者による安全性、持続可能性、透明性の最適化に役立つデータを生成する、Azure IoT Hub を利用した Bühler の Insights IoT プラットフォームなどが開発されました。Bühler はこれ以外にもさまざまな製品に AI を取り入れています。AI を利用したソリューションには、たとえば製造業者がトウモロコシ 1 粒から採れる製粉量を予測できるものがあります。Bashford 氏は次のように説明します。「このプロセスは現在すべて手作業で行われていますが、当社のシステムをお使いいただければ、スマートフォンの画像からトウモロコシ 1 粒の内部構造を割り出し、その画像を AI と機械学習を用いて解析して製粉量を予測できるようになります。」

現在、Bühler のソフトウェア エンジニア チームはマイクロソフトのエンジニアリング チームとの緊密な連携のもと、140 か国に 13,000 人の従業員を擁する自社の俊敏性と効率性を高めるべく、IoT の発展や、製造への AI の応用、Azure の利用に向け取り組んでいます。

Bühler のグロース マインドセット

マイクロソフトで Bühler との提携を担当する Ethem Azun は、次のように述べています。「Bühler はグロース マインドセットがある企業の好例です。同社は市場に先駆けて学習し進化を遂げることで競争力を得るための手段として、実験とリスクテイクを行う姿勢を取り入れています。顧客、学術研究機関、スタートアップ、そしてマイクロソフトをはじめとする戦略的パートナーと非常に緊密に協力し、成すことすべてにおいて能力を伸ばそうとする。それが Bühler のやり方なのです。」

Bühler とマイクロソフトは、引き続き新たな連携のかたちを模索しています。Bashford 氏は次のように説明します。「当社にとって目下の重要課題は、AI、そして AI を当社の産業用アプリケーションで最大限活用するにはどうすべきかということです。この分野に取り組む必要があるのは、どのメーカーにも言えることです。というのも、数年以内には障害の予測検知から、品質向上、製品化に要する期間の短縮まで、さまざまな面で AI が当社のマシンにかかわってくることが予想されるためです。」ほかにも、Bühler はマイクロソフトと連携して、鋳造工程の改善に向けてハイパフォーマンス コンピューティングの新たな採用方法に取り組み、計算流体力学シミュレーションの展開を進めています。

「当社は戦略レベルで業界をリードすることを目指そうと決意しました」と、Bashford 氏は言います。「リーダーになるということは、当社の中核事業を超えて、一連のデジタル サービスを提供できるようになるということです。」

Azure IoT プロダクト マーケティング マネージャーである Lourenco Mello は、次のように加えます。「IoT は変革をもたらすものです。企業が文化的に進化するには時間がかかりますが、今こそ IoT によるテクノロジ革命の可能性を探るべきときなのです。Bühler にはグロース マインドセットだけでなく、すばらしい実績もあります。既にいくつかの IoT 製品の市場化を果たすと共に、50 を超える現行プロジェクトのパイプラインを備えています。

成功に向け、Bühler は働き方を変えました。それこそがデジタル変革におけるソート リーダーシップです。」

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