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業界

AI が製造業の改革を後押し — 各社事例をご紹介

近未来の工場のイメージ

※本ブログは、米国時間 2020 年 2 月 7 日に公開された How AI is helping reinvent the world of manufacturingの翻訳です。

どの産業時代にも共通して言えることは、勝者となる可能性が最も高かったのは変化にうまく対応できた企業だということです。古くは蒸気機関や内燃機関に始まり、電気、マイクロプロセッサの開発へと続きますが、現在の人工知能の開発も例外ではありません。

The Future Computed: AI と製造業 では、マイクロソフトのシニア ディレクターである Greg Shaw が、AI、自動化、モノのインターネット (IoT) がいかに新たな課題とチャンスをもたらすかについて考察しています。

本稿では、既にこれらの最先端テクノロジが働き方を変えているメーカーの事例をいくつかご紹介します。

Thyssenkrupp (英語)

Thyssenkrupp とマイクロソフトの協業により、エレベーター業界で初めてクラウドベースのリアルタイム予測メンテナンス システムの開発にこぎつけました。

これにより、エレベーターが自ら故障しそうなタイミングを正確に予測して、エンジニアの派遣を要請できるようになり、だれかがエレベーター内に閉じ込められる可能性がぐっと下がります。メンテナンス リソースを前もって呼ぶことができるため、リソースの管理にも有効です。

[詳細情報: How AI is changing the world of manufacturing (英語)]

Jabil (英語)

製造向けソリューションを手掛ける Jabil は、より部門横断型のワークストリームへと舵を切りました。全社規模で自動化を実現することが目標です。

その「未来の工場」イニシアチブは、問題を自ら未然に修正できるコネクテッド システムに基づいています。同社のオペレーショナル テクノロジ担当バイス プレジデントは、次のように述べています。「不具合を生み出さず、即座に修正します。グラフを使って後から原因を突き止めるのではなく、自動的に修正するのです」

[詳細情報: How AI could boost GDP and help reduce greenhouse gas emissions (英語)]

MTorres (英語)

航空宇宙分野では、失敗が思いもよらない結果に結びつく可能性があります。製造プロセスのどこかで生じた小さなミスが大惨事を引き起こすこともあり得るのです。

企業グループ MTorres では、機械学習と AI を利用して、毎分 60 メートルの速さで航空機の翼をカーボン ファイバーでラミネートしています。これにより、効率が上がり、生産性が向上して、精度が高まりました。また、同社の自動化された検査モジュールでは、高解像度カメラとレーザーを用いてカーボン ファイバー レイヤーの表面の欠陥をリアルタイムで検出しています。

Toyota Material Handlingの動画

Toyota Material Handling (英語)

物流会社 Toyota Material Handling が所有する倉庫の在庫の動きは、現在多数の小型ロボットの制御下にあります。

同社では、Microsoft Bonsai (英語) と Microsoft AirSim (英語) を利用して、在庫管理ロボットのトレーニングとそのオペレーションの分析を行っています。それらのロボットは、多種多様な部品を集め、倉庫の所定の場所まで運ぶ、自律した “群れ” に属しており、ラックやパレットを避けて進み、多くの製品が詰まった棚から目的のバーコードを見つけることができます。ゆくゆくは、スキャンする代わりに視覚で部品を認識できるようにする予定です。

[詳細情報: How AI is helping unlock information about melting glaciers (英語)]

ZF グループ

自動車部品を手掛ける巨大サプライヤーである ZF グループでは、生産の信頼性と持続可能性を高めるために AI とアルゴリズムを利用しています。

このデジタル技術ツールの主な目的は、機械の故障を前もって検知し予測することです。これにより、生産活動に混乱が生じるのを防ぎ、エネルギーを節約できます。また、自社の従業員向けに「XReality」というツールも開発しました。Augmented Reality と Mixed Reality を組み合わせたこのツールは、従業員がマシンや部品を識別したり、データにアクセスしたり、問題を解決したりする際に役立ちます。

Tetra Pak

包材を専門とする Tetra Pak は、生産での未知の障害を防ぐために AI を利用した予測メンテナンスを採用しており、事態が悪化する何週間も前に問題の可能性を発見できるようにしています。

同社の生産機器には 1 台あたり約 600 ものデータ ポイントが配置されているため、人間では部品に潜在的問題がないかをくまなく調べ、見つけることは到底できないほど大量のデータが生成されます。しかし、 Microsoft Azure でデータを処理することで、メンテナンスの問題が生じる前に十分な余裕をもって交換部品を注文できる円滑なパイプラインを確立できました。

[詳細情報: How AI and satellites are used to combat illegal fishing (英語)]

Colfax/ESAB (英語)

ESAB では、幅広い業種にまたがって顧客を結び付けることで、時折発生する問題の傾向を特定できるプラットフォームを構築しました。

産業サービス事業を手掛ける Colfax の子会社である ESAB は、溶接装置や切断機のほか各種製造ソリューションを専門としています。同社の最新製品は “コネクテッド溶接機” です。ESAB の装置を搭載したすべての溶接機が接続されるプラットフォームは、材料の使用を効率化するための洞察や消耗品を最適化する方法を提案します。また、サプライ チェーンに問題が発生する可能性があればユーザーに警告する機能も備えています。

ABB (英語)

初期の産業用ロボットは隔離された場所に閉じ込められていました。それはロボットの安全を確保するためではなく、近くで働く人々の安全を確保するための対策でした。その関係は ABB によって変わりつつあります。

1970 年代にまで遡るロボット工学を起源とする ABB が自動化において見据えているのは、従来の慣例を超えた先です。ABB の最高技術責任者である Bazmi Husain 氏は、「当社は隔離された場所からロボットを解放し、人間と協力できるようにすることに成功しました」と述べています。同社は AI を新たな場所に導こうとしています。同社のインテリジェントなオートパイロット システムによって、フィンランドのヘルシンキの試験港から客船を遠隔操作することが可能になりました。

Schneider Electric

エネルギー マネジメント ソリューションを手掛ける Schneider Electric では、メンテナンスに関する問題を抑制するために AI を利用しています。

Schneider は、マイクロソフトの Cortana Intelligence Suite を使って、ナイジェリアのある施設に設置されたソーラー パネルのパフォーマンスの推移を監視しています。停電が起こる前に技術者が問題に対処できるようにするためです。たとえば、特定のソーラー パネルによって生成される電力量が低下したら、停電を避けるために 12 時間以内にチェックする必要があることがわかります。

Repsol (英語)

スペインの石油・ガス会社である Repsol は、AI を利用して掘削する場所とタイミングを決定できるようにするため、マイクロソフトと連携して取り組んでいます。より的確に掘削を行う上で役立っているのが、AI とデータ分析です。これにより、掘削する必要のある油田やガス田の数が減り、掘削時の効率が高まる可能性があります。そして、油田やガス田の買収から抽出した資源の商品化までにかかる時間が、活動の全体的な効果はそのままで短縮されます。

Amalia Libera-Rileyの動画

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