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マイクロソフト業界別の記事

 

2 つのディスプレイでデータ分析をする男性

特集: 加速する製造業の変貌 ~ポスト・パンデミックのDX実践アプローチ ~ 第 7 回

データを活用してビジネスモデルにおよぶ企業の変革を進める「デジタル トランスフォーメーション (DX)」。この概念を実践し、新たな競争力を身に着けることは、ポスト コロナを企業が生き抜くうえで不可避という認識が製造業に広がっています。これとともに重要性がクローズアップされているのが、ものづくりのバリューチェーンから集めたデータを活用する仕組みです。膨大な量のデータから抽出した有意義な情報が新たな付加価値をもたらし、これが新ビジネスの創出につながる可能性があります。こうしたビジネス変革を見据えた製造業 DX を推進する基盤を構築するためにマイクロソフトは、クラウド型サービスのデータ連携のために開発したデータモデル「Common Data Model (CDM)」の強化を進めています。

数年前の「第 4 次産業革命」のブームを契機に製造業における DX の潮流が、にわかに顕在化しました。この背景には、工業先進国を中心に少子高齢化などによる社会や市場の変化によって、大量生産大量消費を前提にした従来の製造業のビジネスに限界が見えてきたことがあります。製造業 DX を巡る様々話題の中では、IoT (Internet of Things)、AI (人工知能)、VR (仮想現実)、デジタル ツインなど目新しい技術の動向に目が行きがちですが、本来製造業 DX によって目指すべき目標は、ビジネスモデルを革新し、製造業の新たな発展の道を開くことです。

そのための、もっとも有力なアプローチが「つながる工場」と「データ活用」です。「つながる工場」は、製造業のバリューチェーンを構成する様々な工程を情報ネットワークで接続して、それらが連携する仕組みを実現するアプローチです。装置と装置をつなぐ、装置で構成された生産ラインと生産ラインをつなぐ、工場と工場をつなぐ、企業と企業をつなぐ、といったように工場や企業、国や地域の枠を超えてつながる範囲を拡大する方向へと進みます。これとともに、ものづくりのプロセスの合理化や効率化が進むことで事業環境の変化に素早く適応できる柔軟性が高まることが期待されています。

製造ラインで PC をチェックしながら部品を組み立てる女性

「データ活用」が表しているのは、バリューチェーンの随所から収集したデータを、ものづくりの課題解決に活用するアプローチです。データを収集する領域を広げながら、より多く、より多様なデータを収集する方向へ進みます。活用するデータの種類や量が増えるにつれて、そこから抽出できる有意義な情報の量や価値は高まるでしょう。

この「つながる工場」と「データ活用」の 2 つのアプローチを同時に進めることで、DX が進展することが期待されています。「つながる工場」や「データ活用」の概念は、第 4 次産業革命のブームを引き起 こしたドイツの製造業革新プロジェクト「インダストリー4.0」のコンセプトに登場しており、第 4 次産業革命のブームの中で大きな注目を集めました。最近では、製造業がこれから進む方向を示す概念として、工業先進国を中心に業界に定着しています。

DXに不可欠なデータ連携

実際に「つながる工場」や「データ活用」を進めるとなると、様々な問題が浮上するはずです。その中で、いち早く顕在化している課題の1つが、「データ活用」を進めるうえで欠かせないデータ連携の拡大です。データ連携とは、異なる情報システム間で同じデータを共有し、それぞれで活用できるようにすることです。

製造業の一連のバリューチェーンの中で、工程ごとに様々なアプリケーションが使われていますが、多くの場合、アプリケーションによって扱うデータの形式が異なっています。これは ICT ベンダーの多くが特定の領域に特化した製品を提供しており、アプリケーションに依存したデータ形式を採用しているからです。このような状況の中で、様々な工程から集めたデータを統合して活用しようとすると、データ形式を変換するシステムが必要なります。こうなると、どうしてもシステムが複雑化するうえに、費用がかさみます。このままでは、バリューチェーン全体でデータを共有する仕組みが広がらず、DX はなかなか進まない状況が続くという事態になりかねません。

有力3社が連携してデータモデルを共通化

こうした課題の解決に向けてマイクロソフトは、汎用性を備えたデータモデルの開発を進めています。データモデルとは、アプリケーションに最適化したデータ形式のことです。データを分析、整理してデータモデルを求める作業はデータモデリングと呼ばれていますが、複数のアプリケーションで共有することを前提に最適なデータモデリングを実施すれば、データを共有するアプリケーションのいずれにおいても扱いやすいデータモデルを作成できます。

マイクロソフトは、「Dynamics365」、クラウドサービス「Azure」、チームコラボレーションハブ「Teams」といった 3 つのクラウドサービスのデータ連携のために「CDM (Common Data Model)」を用意しています。さらに CDM をベースに、広範囲のデータ連携に適したデータモデルの開発を進めているところです。

このための取り組みの一環として、2018 年 9 月に「Open Data Initiative (ODI)」を立ち上げました。ODI は、欧州 SAP と米 Adobe、マイクロソフトの 3 社が提供する業務アプリケーション間におけるデータ連携に適したデータモデルを開発するイニシアティブです。CRM (Customer Relationship Management: 顧客関係管理システム)や、ERP (統合基幹業務システム) の機能を提供するマイクロソフトの「Dynamics365」、SAP の CRM「SAP C/4HANA」および ERP「SAP S/4HANA」、Adobe のマーケティング プラットフォーム「Adobe Experience Cloud」および顧客体験管理プラットフォーム「Adobe Experience Platform」の間で共用できるデータモデルを開発。マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」上にあるデータレイクサービスを介して連携できるようにする考えです。

Adobe CEO Shantanu Narayen、マイクロソフト CEO Satya Nadella、SAP CEO Bill McDermott

Adobe CEO Shantanu Narayen、マイクロソフト CEO Satya Nadella、SAP CEO Bill McDermott

さらに、マイクロソフトは、2019 年 4 月に大手自動車メーカーの独 BMW Group とともに、「つながる工場」の実現に向けたコミュニティ「Open Manufacturing Platform (OMP)」を立ち上げました。OMP は、業界の枠を超えて参加企業が連携し、技術や情報を共有しながら、それぞれが新しいコンセプトに基づく次世代工場を速やかに実現するためのアライアンスです。この活動の中でも製造業向けのアプリケーションでデータ連携を進めるためのデータモデルの開発に取り組んでいるところです。OMP の活動は着々と拡大しており、立ち上げ時の 2 社に加えて、大手自動車部品メーカーの独 ZF Friedrichshafen や独 BOSCH などが参加しています。

データ連携強化に向けた企業買収

マイクロソフトは、ODI や OMP の活動で得られた知見を CDM に反映する方針です。これに加えてさらなる CDM の強化に向けて、2020 年 6 月に、データモデリングの研究開発と販売を手掛ける米 ADRM Software を買収したことを発表しました。ADRM Software は、業務分野別に 30 種類にもおよぶデータモデルを開発しており、様々な企業に提供しています。マイクロソフトは、ADRM Software が持っているデータモデリングに関する高度な技術や、抱負な実績も基づくノウハウを共有することで、CDM の最適化をさらに進める考えです。

ADRM データモデル

冒頭に述べたように製造業におけるDX の大きな目標は、製造業のビジネスモデルを変革することです。そのために企業が目指すべき方向の 1 つが「データ活用」です。マイクロソフトが取り組んでいるデータ連携に向けたデータモデルの開発は、製造業 DX 戦略の基礎となる重要な取り組みだと言えるでしょう。

(監修: 日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)

 

マイクロソフトの With/Post COVID-19 における製造業のお客様向けご支援策

下記の資料やウェブ サイトから、この環境下で必要な対応への支援例を参照ください。

 

この投稿はシリーズです。
第 1 回「コロナ禍で加速する製造業 DX、的確かつ迅速な「現場」の変革が不可避に
第 2 回「現場が“腹落ち”する製造業 DX、手戻り最小限で速やかな変革
第 3 回「先行する製造現場の DX に素早く追随、最適な筋書きを浮き上がらせる 5 つのメニュー
第 4 回「「DX は成長戦略の大きなチカラ」、大胆な取り組みを着々と展開
第 5 回「製造業 DX は確実に加速、柔軟な姿勢で多様なエコシステムを構築
第 6 回「現場で鍛えた ICT を活用する局面へ「先人の知恵」を生かして製造業 DX を加速