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業界

全方位でゲーム業界の DX をサポートする日本マイクロソフトの取り組み〜Microsoft Japan Digital Days ゲーム業界関連セッション レポート〜

ソフトウェア開発を行うプログラマー チーム

日本のデジタル化推進に向けて創設された「デジタルの日」。2021 年は 10 月 10 日〜11 日に実施され、9 月 1 日に設置されたばかりのデジタル庁が旗振り役となって、趣旨に賛同する企業や団体によるさまざまなイベントが行われました。

日本マイクロソフトも、10 月 12 日〜14 日に「Microsoft Japan Digital Days」と称して、最新テクノロジーの紹介や著名人の対談など 130 以上のセッションや 40 社を超える DX 事例紹介、最新テクノロジーを体験できるバーチャル展示会など、豊富なメニューを取り揃えたオンラインイベントを開催しました。

360 度全方位でゲーム業界をサポートする、日本マイクロソフトのソリューション

国内外ゲーム業界のデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2021』の推計によると、日本国内のゲーム市場は年間2兆円を突破。なかでもゲームアプリケーション市場が国内ゲーム市場の 7 割を超えており、今やほとんどのゲームユーザーは、オンラインプラットフォーム上に置かれたゲームコンテンツを楽しむのが当たり前の時代になりました。

こうしたオンライン ゲーム業界の活況に伴って、情報漏洩対策やランサムウェア対策といったサイバー セキュリティへの関心も高まっています。また、ゲーム関連技術の他業種への活用事例が増えるなど、技術の進化から業界の垣根を超えたシナジーも生まれています。

本稿では、「Microsoft Japan Digital Days」で開催された 2 つのゲーム関連セッションの概要をご紹介。拡大を続けるゲーム業界の DX を全方位的にサポートする、日本マイクロソフトのソリューションをご案内します。

ゲーム業界関連セッションレポート 1

「ゲーム業界のお客様必見 ランサムウェアや内部不正から皆様の大切な情報資産を守る方法」

日本マイクロソフト株式会社 ゲーム & エンターテインメント営業本部 小泉 健太郎

日本マイクロソフト株式会社 ゲーム & エンターテインメント営業本部
小泉 健太郎

■セキュリティ対策の必要性は、身近な防犯活動に置き換えて考えてみる

近年のゲームはインターネットを利用するものも多く、また、リモート ワークの普及にともなって、クラウドを利用したゲーム開発を行う企業さまも増えてきました。日本マイクロソフトのゲーム関連事業というと、発売以来全世界で親しまれているコンピュータ ゲーム ブランド「Xbox」の展開や、ゲームの開発でも多くご利用いただいている「Visual Studio」などを思い浮かべる方も多いかもしれません。ですが、私たちマイクロソフトは今や世界最大のセキュリティ ベンダーの 1 社であり、ゲーム業界のお客さまが抱えるセキュリティのお悩みに幅広く対応できる製品を展開しています。

セキュリティ対策は、会社の事業継続に関わる事態になることもあり得る問題ですが、対策が進んでいないゲーム会社さまもまだ多いと感じています。今はクラウド サービスが普及して多様な働き方ができるようになった反面、IT セキュリティの脅威も高度化しており、最先端の対策を講じる必要があります。ただ、セキュリティ リスクに対する危機感を企業全体で共有するのが難しいというお話もしばしば伺います。そのようなときには、身近な防犯活動に置き換えて考えてみてはいかがでしょうか。

■「信頼せず常に検証する」ゼロトラストとは?

ゼロトラストとは? 閉じた世界は本当に安全なのか?

まずは「ゼロトラスト ネットワーク」についてご説明します。会社の大事な書類を守るために、社外の人はオフィスへの入館を制限して、社内にいる人は絶対社員だから大丈夫という前提で仕事をする会社も多いと思います。ですが、この時代ですから、在宅勤務をする社員もいるかもしれない。つまり「社外にいるから社員ではない」とは言い切れません。また社内にいるとしても、書類を守るためには ID を付与して常に行動を確認する必要があります。そもそも、もしかしたらその人は ID を偽造した犯罪者かもしれません。

そこで生まれるのが「信頼せず常に検証する」、すなわちゼロトラストの発想です。日本マイクロソフトは、社内・社外に関わらず、ID があるかないかを常に検証を行う環境を構築するための製品として「Azure Active Directory Premium」や「Azure Sentinel」を展開しています。

参考:「Azure Active Directory 〜ID の管理とセキュリティ保護のためのユニバーサル プラットフォーム〜
Azure Sentinel〜お客様のそばで監視する、企業全体にわたるインテリジェントなセキュリティ分析です。〜

■自宅や外出先から安全に使える環境とは?

一方で、自宅や外出先からも安全に使えるというのはどういう状況かというのも、身近な防犯に置き換えて説明します。

一方で自宅や外出先からでも安全に使えるとは?

このコロナ禍でリモート ワークが一般化しましたが、社外や自宅からでも仕事ができるということは、社内外に関わらず、相手が同僚や家族だったとしても、周りの目には常に気を配ることが必要になります。

これを IT に置き換えると、「Azure Active Directory Premium」で ID を常にチェックしつつ、PC 1 台 1 台の不正な振る舞いを常に検知する環境を構築する必要がある、ということになります。この対策は「Microsoft Defender for Endpoint」によって対応可能です。

参考:「Microsoft Defender for Endpoint〜脅威は難敵ではありません。〜

■サイバー犯罪者はどこから侵入してくるのか

では、サイバー攻撃はどこから侵入してくるのでしょうか。玄関ドアを暗証番号などで出入りする会社を考えてみると、その暗証番号さえ知っていれば会社に入れて、大切な書類も見られてしまうということになります。あるいは見知った取引先の方を、身元の確認なしで中に入れるといった状況も考えられます。

サイバー攻撃はどこから入ってくるのか?

当然そこにはリスクとその対策が必要となります。パスワードの漏洩に備えて生体認証などで二重の認証を行う、取引先の方は毎回身元の確認を行うといったことですね。IT の世界でもこれと同様の考え方が必要になります。「Azure Active Directory Premium」を使えば、二重の個人認証やパスワードの漏洩を検知した場合はアラートを出すといったシステムの構築が可能となります。また、なりすましメール対策として「Microsoft Defender for Office365」とOffice365製品を組み合わせることで、メールに記載された URL の安全性を確認するといった対応ができるようになります。

参考:「Microsoft Defender for Office 365〜Office 365 全体を、ビジネス メール詐欺や資格情報フィッシングなどの高度な脅威から守ります。自動的に攻撃を調査して修復します。〜

■サイバー犯罪者はどのように攻撃してくるのか

サイバー犯罪者は、社内システムへの侵入に成功すると、一般ユーザーから次々に権限を昇格させていって、最終的には認証システムの最高特権を盗み取ります。そしてその特権を使用して会社の重要なドキュメントやファイルをロックし、金銭などを要求するのが、いわゆるランサムウェアです。サイバー犯罪者が侵入からランサムウェアの攻撃を完了させるまでに必要な時間は 45 分未満だったという事例もあり、もはや人間の目では追えないレベルですので、IT の力で対処することが必要です。

サイバー犯罪者はどのように攻撃するのか

マイクロソフトは、ランサムウェアの動きをいち早く検知するための仕組みを持っています。「Azure Active Directory Premium」は特権を使える人間を制限する機能がありますし、「Microsoft Defender for Identity」は、オンプレミスのドメイン コントローラーを監視して、特権の昇格活動と思しき活動を検知し、必要に応じてそのユーザーを一旦ロックするなどの対処を講じることができます。

参考:「Microsoft Defender for Identity とは

■Microsoft は世界最大のセキュリティ企業

ここまで説明してきたとおり、まずは侵入を防ぐ。侵入されたとしても未知の問題から情報を守る。現在はこのようなセキュリティ対策が必要となっています。

今のものを全部マイクロソフトに変える必要があるのか?

今お使いのツールをすべてマイクロソフトの製品に変えるのは難しい場合もありますが、たとえばグループ ウェアやクラウド サービスが日本マイクロソフト以外の製品だったとしても、セキュリティだけマイクロソフトの製品という形でもご対応できますので、ぜひご相談いただければと思います。

そもそもマイクロソフトはセキュリティの会社なのか?

マイクロソフトは、世界中の多くのお客さまに私たちの製品を安全にご利用いただくために、世界トップクラスのセキュリティ企業にならざるを得なかった経緯があります。すなわち、日々のセキュリティ オペレーションのなかから受け取るたくさんのシグナルに対処していることがマイクロソフトの強みであり、日本マイクロソフト自身が身を守れるということは、マイクロソフトの製品を使っていただいている皆さまのセキュリティを守ることにもつながるのです。ぜひマイクロソフトのセキュリティを信頼していただき、導入をご検討いただければと思います。

ゲーム業界関連セッションレポート 2

「多様に活用可能なマイクロソフトのゲーム関連技術や開発の DX ~高品質リアルタイム ビジュアライズのリモート活用からリアルタイム コラボレーションまで~」

Microsoft Corporation Cloud Solutions Manager 下田 純也

Microsoft Corporation Cloud Solutions Manager
下田 純也

■ゲーム業界に止まらない開発技術の進化

近年、ゲーム業界で培われてきた技術の他業種への活用事例が増えています。
Unity や Unreal に代表されるゲーム エンジンのノンゲーム分野、特に建築分野・デザイン分野・映像分野でのビジュアライズ・シミュレーションへの活用は目覚ましいものがあります。また、これらはもはやリモートで、あらゆるデバイス上で実現できるようになっています。本セッションでは、ゲーム関連技術のコラボレーション事例や実現ノウハウをご紹介します。ぜひ各分野の皆さまにお役立ていただければと思います。

近年のゲーム技術とトレンド

近年のゲーム技術とトレンドということで、最初に「Microsoft Flight Simulator」というゲームを紹介させていただきます。これは地球上のどこへでも飛行機で飛んでいけるゲームで、世界中の 3D モデルをつくったり、リアルタイムの飛行データをゲーム内に取り込んだりといったことが行われており、実世界と見まごう体験ができるゲームです。もう 1 つ、別の場所にいる複数人が同時にプレイできるマルチプレイ ゲームのようなゲームには、オンライン機能やクラウドが活用されています。

これらのゲームには「Unity」や「Unreal」に代表されるゲーム エンジンが使われているのですが、かなりクオリティの高い描画ができる点を評価され、映画や製品のビジュアライズにも利用されています。建築物をビジュアル化してそこを歩き回るテストをしたり、自動車のショールームで車体の色や内装を瞬時に切り替えて試乗体験をしたり、災害対策で洪水のシミュレーションにも利用されるようになっているのです。

■ニューノーマルに対応する日本マイクロソフトのソリューション

近年の開発環境における課題

一方で、ゲーム制作環境がリッチになったことにより、いくつかの問題が発生しています。1 つは開発コストの増大。そして新型コロナウィルスの流行とそれに伴う事業の継続性。さらにライフ スタイルの変化にともなう、ユーザーのプレイ環境やニーズの変化。これらの問題を克服するためには「柔軟かつスケーラブルな開発環境」が必要です。外出に制限がかかってオフィスに集まれない。であれば複数の開発拠点を、クラウドを介してつなぐ開発環境を構築するといった対策が求められているのです。

日本マイクロソフトは、こうした環境の構築を支えるソリューションを展開しており、有名なところでは「GitHub」があります。GitHub を介することで、場所にとらわれない開発やコラボレーションを実現できます。実際に、日本マイクロソフトのなかにもこの「GitHub」のリポジトリを活用したプロジェクトがたくさんあります。また、「GitHub Actions」や「GitHub Codespaces」を使うことで、すべての作業をクラウド上で自動化でき、タブレットやスマートフォンといったデバイスからも開発が可能となります。つまり、世界中どこにいても IT の力で開発に携わることができるのです。

GitHub 上で世界的なリモート開発・コラボレーションを加速

1 つ例を挙げると、マイクロソフトの研究機関である「Microsoft Research」が開発している「AirSim」は、ドローンや自動車の自動運転シミュレーションや機械学習のためのベースとなっており、GitHub 上で公開されています。ゲーム エンジンとも連携できるため、さまざまな拠点にいる複数のメンバーが開発に携わることができ、OSS なので世界中のコミュニティの方々とのコラボレーションも実現できています。

■先端技術の応用でゲーム体験を進化

Microsoft Research は世界 8 か所にあり、1,000 名を超える研究者がさまざまな分野で研究を進めており、Xbox Game Studios というゲーム開発のためのスタジオとコラボレーションした技術開発も行っています。

先端技術や AI による創造と、開発力・生産性向上

そのコラボレーションの例を挙げると、Xbox のレーシングゲーム「Forza Motorsport」では、Microsoft Research が関わってレーザー スキャンの技術を用いてコースを再現したり、ライバル カーを人間が運転しているように見せるような AI の開発に携わったりしています。また、「Minecraft」では Microsoft Research が AI の学習環境を構築し、そこで AI 技術のコンペが開催されるといった展開の広がりも見せています。

そして冒頭ご紹介した「Microsoft Flight Simulator」では、マイクロソフトの「Bing Maps」という地図サービス用のデータを AI と組み合わせて、地図データから世界中の街を 3D で構築したり、リアルタイムの現地の天候をゲーム内で再現したり、声優の声を AI が学習して、リアルに管制塔と通信している感覚をつくり出したりといった機能を実装しています。最近、デジタル ツインという言葉をよく聞きますが、まさにゲーム内にデジタル ツインを創造しているわけです。

YouTube チャンネル「Microsoft Game Stack」

※YouTube チャンネル「Microsoft Game Stack」
Microsoft Flight Simulator Changes the Landscape (英語)

また、「Microsoft Flight Simulator」にはゲーム内で日々更新されるモデルや飛行機のデータをダウンロードしたり、複数プレイヤーで同時プレイしたりできる機能を「Azure PlayFab」というサービスで実現しています。

Microsoft Flight Simulator における体験の共有

この「Azure PlayFab」は、アプリケーションのリリース後にオンラインでコンテンツを追加できる機能を有しており、ゲームだけでなく、例えば自動車の試乗シミュレーションアプリをリリースしたあとに、新しく発売された自動車のパーツを組み込みたいといった場合でも、アプリ内データをオンラインで更新できます。

また、「Azure PlayFab」が持つチャット機能は Azure Cognitive Service と連携することで、翻訳機能も実現できるようになってきています。この機能はすでに皆さまにご利用いただけますので、ゲームやアプリケーション開発にご活用いただければと思います。

Azure Cognitive Service のゲーム開発への活用

■あらゆる状況に対応する日本マイクロソフトの全方位サポート

マイクロソフトは「Microsoft Mesh」という仮想空間上でアバターや 3D モデルを用いたリモート コミュニケーションが行えるコラボレーションツールを発表しましたが、もっと気軽に 3D 空間でのコミュニケーションを体験したい場合、例えば自動車のショールームでタブレットやスマートフォンを通して試乗体験サービスを提供したいと考えたときに、通常そのレベルのリッチなコンテンツを再現するにはスペックの高いコンピュータを搭載したデバイスが必要となりますが、Microsoft Azure の GPU VM 上でレンダリングさせることで、リッチな見栄えそのままに手元のデバイスでストリーミングすることが可能になります。これらを Azure 上に容易にスケーリングさせられる機能も先日公開されました (※)。

※「Announcing Unreal Engine Pixel Streaming in Azure! (英語)

クラウドを活用したリッチなリモート ショールーム

また、コンテンツ開発時のコラボレーション ツールとしては、Microsoft Teams をご活用いただけます。Tab の追加機能で、リモートのビジュアライズ環境を Microsoft Teams を介して共有したり、テキストチャットで Bot を開発して組み込むことで ChatOps のような使い方をしたり、もちろん Office 製品と連携できますので、さまざまな活用の仕方が考えられると思います。

ここまでお伝えしてきたように、日本マイクロソフトはさまざまな製品とその利用法をご提案することで、皆さまの DX 推進をご支援します。そしてツールのご提供に留まらない全方位のサポートにより、コンテンツの制作だけではなく、多様な働き方の実現やパートナー企業とのコラボレーションなど、皆さまの事業の持続的な成長に貢献してまいります。