デジタルテクノロジーを活用して新たなサービスやビジネス モデルを創出する動きが、あらゆる業界で加速している。顧客起点、社員起点のビジネス変革を CIO や IT 部門は、どう牽引していけばいいのか ——。
この回答を探るべく開催されたのが「IT Leaders xChange サミット 2017」(主催: 日本マイクロソフト) だ。会場には、IT でビジネスをリードする立場にあるエグゼクティブが集結。様々な講演や議論が展開された。まずはその幕開けとなったオープニング セッションから紹介していきたい。

デジタル変革が世界を問わず企業の競争優位性の鍵に

オープニング セッションの冒頭に、日本マイクロソフトでエンタープライズビジネスを統括する日本マイクロソフトの福島 徹が登壇。「デジタルテクノロジーを利用してビジネスを変革する動きが、日本でも想像を超えるスピードで進展しています。

本日の様々なセッションやご来場いただいたお客様同士との意見交換を通して、デジタル化の流れのなかで、どのようにビジネス変革に立ち向かっていくのかというヒントをつかんでいただきたい」と、今回のサミットの意義を紹介した。

デジタルテクノロジーを利用してビジネスを変革する動きが、想像を超えるスピードで進展している。しかし日本企業におけるその認識は、グローバルに比べると想定以上に低い。
日本を含めたアジアの 13 か国・地域のビジネス リーダーを対象とした調査結果を見てもそれは明らかだ。

「『デジタル トランスフォーメーションが重要』と回答した割合は、アジア全体の平均が 80% なのに対し、日本のビジネス リーダーの割合は 50% という結果でした。日本でも数多くの企業がデジタル トランスフォーメーションを推進していますが、海外ではそれ以上に積極的に取り組まれているのです」と日本マイクロソフトの代表取締役 社長 平野 拓也は説明する。

デジタル トランスフォーメーションを推進する目的についても、海外と日本では異なる。

「マイクロソフトでは、『デジタル トランスフォーメーション』におけるフォーカスすべき 4 つの要素として、①『お客様とつながる』②『社員にパワーを』③『業務を最適化』④『製品を変革』を挙げています。これらの優先順位を尋ねた設問で、日本のビジネス リーダーが ③ の『業務を最適化』をトップに挙げているのに対して、アジア全体では ① の『お客様とつながる』がトップでした。クオリティーを重視する日本企業では、オペレーション志向あるいはプロセス志向の考え方を持った人が多くなっています。これが反映された結果でしょう」(平野)

現在、中堅・中小企業も含め、すべての業界でビジネスのグローバル化が進んでいる。このため、ライバル企業に勝つためにはデジタル トランスフォーメーションに対する取り組みを加速することが必要になるだろう。

AI を活用することで生産性が飛躍的に向上

近年では、ワークスタイル変革もデジタル トランスフォーメーションにおける重要な要素となっている。ただし、経営層としては、その目的をきちんと明確にすることが大切だ。

「ワークスタイル変革というと、これまでは自宅や外出先など “いつでも・どこでも” 仕事ができる環境を整備することが大きな目的となっていました。こうした取り組みは、残業時間の短縮や、介護や育児を担う人たちの労働時間の有効活用といった面では効果がありますが、それだけでは不十分です。同じ労働時間の中でも、より大きな成果を生み出せるような環境を作ることが大切です。

これによって、組織全体の生産性が飛躍的に高まります」と平野は述べる。こうした環境を実現するテクノロジーも用意されている。その 1 つが AI (人工知能) だ。すでに「Office 365」の最新版に搭載された「MyAnalytics」では AI が機能として組み込まれている。

MyAnalytics は、クラウド上に蓄積された Office 365 の利用履歴やスケジュールを AI が分析し、個々人の「時間の使い方」と「コラボレーションの状況」を可視化するツールだ。これを利用することで、過去 1 週間の「会議時間」「メール時間」「残業時間」、さらにどの社員とどのようなコミュニケーションをとっていたかを把握できる。ここから気づきを得て、自分の働き方を改善することが可能になる。

「私も毎日のように MyAnalytics を起動して、自分の働き方を振り返っています」と平野は話す。マイクロソフトは約 25年にわたって AI の領域に投資を続けている。近年、特に注力している領域の 1 つが、機械学習を活用して音声や画像、自然言語を認識する「コグニティブ (認知)」技術だ。マイクロソフトでは、自社で開発した技術を自社の製品やサービスに反映するだけではなく、外部の企業や個人が気軽に利用できる環境を目指している。

「財力がない個人や企業でも活用できるように『AI の民主化』を進めたいと考えています」(平野)

最新テクノロジーという観点では、MR (複合現実) の研究開発にも取り組んでいる。この成果が、ヘッド マウント型の PC である「HoloLens」だ。HoloLens には、日本企業からの期待が高く、先行発売した地域では、米国を除く 6 か国の平均に比べて 3 倍の注文があったという。

お客様の要望に応えるパートナーに

日本企業でも、デジタル トランスフォーメーションに取り組む企業が増えつつある。ただし、その実現に向けてはいくつもの壁を乗り越える必要がある。

日本航空 (JAL) の常務執行役員で、IT Leaders xChange の会長を務める石関 佳志氏はその 1 つとしてレガシーシステムの存在を指摘する。「当社に限らず、伝統的な企業のほとんどがレガシーシステムを維持しながら、いかにしてデジタル トランスフォーメーションに取り組むかということに悩んでいます」。また、新しいサービスに向けた意識の醸成やビジョンの共有も大事なポイントとなる。

こうした課題を解決するために、同社では日本マイクロソフトと提携。昨年から今年 2 月まで、マイクロソフトと共にワークショップを開催。JAL における顧客体験のあるべき姿を描いた上で、顧客接点ごとにどのようなサービスが必要になるかを議論した。「JAL が目指すデジタル トランスフォーメーションをクリアする上で良いディスカッションができました。

またこの取り組みを通じて、マイクロソフトが『プロダクトの販売を中心とした会社』から『顧客の要望に応えるパートナー』に変貌しつつあることを感じました」と石関氏は振り返る。

同社では今後もデジタル トランスフォーメーションを強力に推進し、新たなサービスを通した顧客体験を提供することで、グローバルな競争を勝ち抜いていく考えだ。

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