ハイブリッド環境の職場で出退勤する人々

株式会社パソナJOB HUB は、プロフェッショナル人材の知見や人脈を生かして企業の課題解決を支援する「顧問コンサルティング事業」、経営幹部の人材紹介やヘッドハンティングを行う「エグゼクティブサーチ事業」、リモートワーカーなどを活用した「BPO 事業」、地域企業と複業人材を結び付ける「マッチング事業」など、幅広いサービスを提供しています。

同社では、営業のサポートを行う営業支援チームの業務を、Microsoft Power Automate の自動化機能により大幅に効率化。驚くべきはその作業をすべて非エンジニアが行ったにも関わらず、わずか 1 か月半でリリースできたスピード感です。本稿は自動化作業を担当した総合企画部の安達氏と北野氏、そして実際に効果を体感している営業支援1チームの津留﨑氏にお話を伺いました。

パソナ ロゴ、マイクロソフト ロゴ

株式会社パソナJOB HUB
常務執行役員 総合企画部長
安達 剛 氏

株式会社パソナJOB HUB
事業統括本部 総合企画部 副部長
北野 健二 氏

株式会社パソナJOB HUB
プロフェッショナル本部 営業支援1チーム長
津留﨑 侑里 氏

■さまざまなニーズに応えるマッチングと、それを支える営業支援チーム

-貴社の事業と営業支援チームの業務についてお聞かせください。

北野: 当社はもともと、別事業を行うパソナグループの 3 社が統合してできた会社です。当社のサービスは、企業ニーズに合わせて最適なソリューションを提案して、企業課題の解決に向けて、営業担当者とプロフェッショナル人材がクライアントと伴走しながらプロジェクトを進めていくのが特徴です。クライアントは業種を問わず、中規模企業から東証一部上場企業まで 2,500 社ほど、登録されているプロフェッショナル人材は約 8,500 名を数えます。(2021 年 11 月時点)

津留﨑: 私たち営業支援チームは、主に営業担当者のサポートや契約、請求、支払いなどの対応をする部署です。ご登録いただいたプロフェッショナル人材との面談から始まり、マッチングのご提案や、マッチング後の業務報告書の依頼、回収、内容のチェックなど、多種多様な業務を行っています。

営業支援という言葉だけを聞くとフロントに立たないイメージを持たれるかもしれませんが、企業側、プロフェッショナル人材側ともに直接やりとりすることも多く、チームに在籍する 4 名の人員が、1 人当たり 80~90 の案件を受け持っています。

■営業支援チームの作業効率化のために Microsoft Power Automate を導入

-Microsoft Power Automate による業務自動化に取り組んだ経緯についてお聞かせください。

安達: 津留﨑がご説明したとおり、営業支援チームの業務は非常に多岐に渡りますので、仮に人員を中途採用や社内異動で確保したとしても即戦力化というわけにはいきません。かつ、津留﨑から 80~90 の担当案件と申し上げましたが、担当案件数は年々増え、1 人当たりの業務量も増す一方でした。ですから、常々なんらかの手段で効率化を図らなければならないと感じていました。

津留﨑: 業務のなかでも特に月次の業務報告書回収は、業務負荷が高い作業でした。毎月、クライアント企業で業務に就いていただいている方 1 人 1 人に都度メールで報告書の作成を依頼して、それをまたメールで回収して、内容のチェックをして……といったタスクをこなさなければなりません。毎月業務報告書回収の時期になると、チーム内に緊張感が漂っていましたね。 1 人 1 人 の属性や性格を把握し、それに合わせた対応もしなければいけないと考え、慎重に対応するものの、手作業のためケアレスミスが起きることもありました。

安達: そのような状況のなか、今年に入ってチームの 1 人が産休に入ることになりました。そこで「効率化を目指してなにかやってみよう」と動き始めた次第です。

ただ、対象が非常に複雑な業務フローだったので、簡単にシステム化するわけにはいきませんでした。北野と 2 人で思案していたところたまたま、Windows10 のユーザーであれば Power Automate Desktop が無償化されることを知り、それをきっかけとして Microsoft Power Automate の導入を検討し、クラウドで利用できるということもあって、利用してみることに決めました。

当社は人材サービス会社なので IT セキュリティがかなり厳しく、外部の IT ツールは簡単には導入できないのですが、もともとパソナグループ全体で Office365 を使っており、そのパッケージ内の製品であれば比較的容易に試せるのではないかと考えたことも、導入の後押しとなりました。そのうえ Office365 に付属の Microsoft Power Automate であれば無償ですから、スケール化したとしても対応しやすいだろうと判断して、Power Automate による自動化ツールの作成に取り組んでみることにしました。

■ 1 か月半で自動化ツールを作成し、業務時間の大幅な短縮に成功

業務自動化フローチャート

※パソナJOB HUB社の業務自動化フロー

-自動化ツールの作成はどのようなもので、作成はどのように進められたのでしょうか?

安達: Power Automate を使って、それまでの「メールで業務報告書作成の依頼を送付し、返信されてきた報告書を回収して手作業でまとめる」という一連の作業を自動化するフローを作成しました。今は配信対象者のリストさえつくれば、報告書作成の依頼から OneDrive への報告書のファイリングまですべて自動で行うことができるようになっています。

私も北野もそれまで Power Automate を操作したことがなかったのですが、ツール作成を始めてから 1 か月弱で試用版をつくり上げることができました。それを津留﨑たちに試してもらい、意見を聞いて機能をブラッシュアップして、本番リリースはその半月後というスケジュールでした。

Power Automate は、IT 製品にありがちな、操作方法やトラブル シューティングについて検索しても答えが見つからないといった悩みは全くなくて、操作方法のドキュメントも Microsoft Docs と Learn で提供されており、ローカライズもされていたので、私たちのような初心者でもスムーズに自走でき、導入しやすかったです。感覚としては、Excel や Word などの Microsoft のアプリを使ったことがあれば、日本マイクロソフトが提供する 2〜3 時間分のコンテンツをひと通り勉強するだけで、100% は使いこなせないまでも、通常利用はできるくらいの気軽さでしたね。

参考サイト:「重要なことに時間をかけてその他のことは自動化しましょう。

-それにしても驚きの開発スピードです。実際にどの程度業務を効率化できたのですか?

津留﨑: チーム全体で、作業時間を 60 時間ほど削減することができました。これまでは、あらかじめ業務報告書処理のために使う作業時間を確保していたのですが、新たな業務に集中できるようになりました。

実は、最初は戸惑いもありました。というのも、これまで 1 通 1 通メールを送受信していた作業を全くしなくてもよくなったので、本当にいいのかな? と (笑)。メールの文面を考えたり個別対応に悩んだりしなくて済むようになりましたし、当然メールでのやり取りで発生するケアレス ミスもなくなりました。

最近加わった新しいメンバーの育成にもしっかり時間をかけられますし、クライアントへの訪問やイベントの運営など、別の業務にも時間を割けるようになりました。チーム内から喜びの声が上がっているのはもちろん、営業部からも「わかりやすくていい」「送信のタイムラグがないのがいい」と好評です。

■月に 2〜3 個の自動化ツールをリリース。Microsoft Power Automate をもっと使いこなしたい

-Microsoft Power Automate をここまで短期間で使いこなせるようになった要因はなんだとお考えですか?

安達: パソナグループは以前からワークスタイルの変革を推進するため、多様な働き方に対応可能な Office365 をはじめとする日本マイクロソフトのソリューションを導入しており、普段から馴染みがあったことは 1 つの要因かもしれません。Microsoft Teams を活用したコミュニケーションやリモートワークにもコロナ禍以前から馴染んでいましたから、比較的 DX を進めやすい社内風土ではあったと思います。

当社では現在、Microsoft Power Automate を使って月に 2〜3 個の新しい自動化のフローをリリースしています。例えば、これまでは電子契約書の返送の有無を確認するためにいちいち電子契約システムにログインする必要があったのですが、電子契約書が返送されてきたらアラートを出しつつ台帳に記入して、契約書の PDF データを OneDrive に保存する一連の作業を自動化しました。今後も、手作業で余計な手間がかかっている部分の自動化を進めていければと考えています。

-今後の課題や日本マイクロソフトへの期待についてお聞かせください。

北野: 当社では、まだ手作業の部分や効率化できていない部分が残っているので、その改善のために Microsoft Power Automate を含む Microsoft Power Platform をもっと活用していこうと社内でコンセンサスをとっているところです。営業支援チームのように業務自動化の恩恵を受けている部署や、営業支援チームの効果を見て問い合わせてきた部署はより積極的に自動化を進めて、まだ自動化の効果にピンときていない部署にも、その必要性を広めて全社で取り組んでいこうと思っています。

安達: 自動化を進めるなかで、IT 人材の採用や育成を進める必要があると思っています。また、Microsoft Power Automate は初心者でも取り組みやすい製品と申し上げましたが、今はあくまで社内での使い方に止まっているので、もっと使いこなせるように、当社同様自動化に取り組まれている他社との横のつながりがほしいですね。日本マイクロソフト主導でそうしたコミュニティづくりを推進していただけるとありがたいので、ご検討よろしくお願いします。

-かしこまりました。本日はありがとうございました!