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業界

Walgreens、HoloLens 2 で新たな小売体験を提供

IoTを通じた世界の繋がり

Walgreens は 1 年以上前に新たな形の顧客向け小売体験を実現する計画に乗り出しましたが、それにはまず、従業員のトレーニングを行うための革新的アプローチが必要であることに気付きました。

Walgreens の従業員は、最適な美容品について顧客にアドバイスを行う、写真のオーダーに対応する、医薬品を調剤する、顧客に合わせて健康や衛生に関する情報を提供するといった業務には慣れていましたが、生鮮食品を販売する、食料品を車まで運ぶ、顧客が夕飯の材料を見つける手伝いをするといった業務の経験がまったくなかったため、問題が生じる可能性がありました。

そこで、改装を行った “Kroger Express” 店舗でおよそ 2,500 点の食料品を新たに取り扱うにあたって従業員の準備を整えるべく、Walgreens は Microsoft HoloLens 2 とタブレット端末を使ったイマーシブな複合現実トレーニング プログラムのパイロット運用を進めています。

マイクロソフトとのより広範なパートナーシップの一環であるこのプログラムは、レイアウト変更された店舗の 3 次元モデルと多様なシナリオを用いて、商品を補充する方法や、玉ねぎやバナナが食べごろを過ぎたかどうか判断する方法、顧客がクーポンを食料品と引き換えるのを手伝う方法、そして、顧客サービスでの不慣れな状況に対処する方法 (顧客が欲しい食料品が品切れの場合に代替え商品を提案するなど) について、従業員を教育することを目指すものです。

「当社は、この非常にイマーシブな対話型テクノロジによって、チーム メンバーがいわゆるテキストでの訓練を超えた新たな学習方法を獲得できると感じています」と、Walgreens の親会社である、イリノイ州を拠点とする Walgreens Boots Alliance で Deerfield の物理設計と全体構成を担当するバイス プレジデントの Steven Lamontagne 氏は述べています。

マイクロソフト パートナーの Altoura によって開発されたこの HoloLens トレーニングは、手始めにテネシー州ノックスビルの Walgreens 店舗でテストが行われています。そこから、ノックスビルにある他の 34 店舗と、ノーザン・ケンタッキーおよびグレーター・シンシナティ地域にある 17 店舗へとトレーニングを拡大する見込みで、これらの店舗はスーパーマーケット小売業者の Kroger とのパイロット運用に参加中です。2018 年末にパイロット運用が開始されて以来、約 20 軒の Kroger Express 店舗が開店しました。

現在、対象の Kroger Express 店舗は新たな商品を受け入れるために改装中で、Lamontagne 氏曰く、HoloLens 2 トレーニングには改装が終わるまでに従業員を新しい店舗レイアウトに慣れさせることができるというメリットがあるといいます。

「店舗の 3D モデルを使用することで、チーム メンバーは、店舗改装後の運営の様子を確認できるため、新たな物理環境に即座に入っていけます」 (Lamontagne 氏)

この取り組みは、1 年前に発表された Walgreens Boots Alliance とマイクロソフトの多面的パートナーシップの一環であり、Walgreens が今日の小売・薬局体験を変革することを目指すものです。このパートナーシップの下で、英国やその他の地域の Walgreens 店舗と Boots 店舗は、運営を向上させ、コストを削減するために、オンプレミスのデータ ウェアハウスを Azure に移行する作業を進めています。

Walgreens Boots Alliance は、オンプレミスのデータ ウェアハウスを、エンタープライズ データ ウェアハウスとビッグ データ分析を統合するサービスである Azure Synapse Analytics に移行することで、運営の向上と業務プロセスの最新化を図ろうとしています。

また、Azure Synapse を使用し、さまざまなソースから得たデータをまとめて、顧客ニーズの把握とサプライ チェーンの最適化にも取り組んでいるところです。Azure Synapse によって、Walgreens は大量のデータをリアル タイムで分析できるようになるほか、機械学習を適用して従業員が顧客の欲しい商品を提供するとともに、バック オフィスが売れ残った在庫であふれないようにするための洞察を得ることができるようになるでしょう。

改装された Walgreens 店舗では、マイクロソフト パートナーの Acuity によって開発された匿名顧客動線システムの導入も進めています。このシステムは、カートと買い物かごに取り付けられた Bluetooth ビーコンを使って、レイアウト変更された店舗内での顧客の動きを把握するためのものです。収集されたデータは、Azure に集約され、マイクロソフトの Power BI 可視化ツールを使ってホリデー シーズンの顧客のショッピング動向などのパターンが識別され、新しい店舗の全体構成が顧客のニーズに合っているかどうかの判断に役立てられます。

現在のところ、Kroger とのパートナーシップの最も顕著な点は、化粧品や薬局の商品と陳列される食料品の列でしょう。Kroger Express 店舗では、青果、乳製品、肉製品、ミール キット、オーガニック製品を置く予定です。顧客はオンラインで食料品を注文して、パイロット店舗の歩道まで配送してもらうこともできます。

米国内には 9,200 軒を超える Walgreens 店舗があり、米国人口の 78% 近くに当たる人々が Walgreens 店舗や Walgreens が所有する他店舗から 5 マイル (約 8 キロ) 圏内に住んでいるため、顧客に食料品を購入できる機会を提供することは理にかなっていると、Lamontagne 氏は言います。

「人生で頻繁に購入するものといえば、その 1 つに食料品を挙げる人も多いでしょう。Walgreens 店舗内で幅広い Kroger 製品を取り扱い、その専門知識を活かすことで、お客様に新たな小売体験を実際に提供できます。これにより、お客様は食材棚と冷蔵庫に食料品を保管できますし、信頼できる食料品を購入して、ご家族にお食事を作ることができます」

Walgreens とマイクロソフトが戦略的パートナーシップ 1 年目に達成した進捗の詳細は、Walgreens Newsroom をご覧ください