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Microsoft for Startups 活用企業紹介: 第 1 弾

日本マイクロソフトでは、スタートアップ企業さま向けの支援プログラムに注力しています。今回は、小売・消費財業界で新たな価値の創造に取り組む Marketing Demo 社をご紹介します。
サービス構築から顧客開拓の販売までを徹底支援 | Microsoft for Startups

日本マイクロソフトは、「1 日 2 万円から、最短翌日には消費者と話せる」オンライン デプス インタビュー ツール「リサーチ DEMO!」を提供する Marketing Demo 株式会社を、スタートアップ企業の規模拡大をサポートするグローバルプログラム「Microsoft for Startups」に採択しました。今後、Marketing Demo 社商品の品質向上や新機能の開発を推進するとともに、共同プロモーションやエンタープライズ企業との連携によるサービス開発などを後押ししていきます。

Microsoft for Startups 活用企業紹介の第 1 弾となる本稿では、Marketing Demo 社の代表取締役である石井 賢介 氏に、Microsoft for Startups への採択で生じた変化や今後の展望、プログラムへの期待をお聞きしました。

Marketing Demo 株式会社 代表取締役 石井 賢介 氏

Marketing Demo 株式会社 代表取締役
石井 賢介 氏

1990 年神奈川県生まれ。東京大学農学部卒業後、住友商事に入社。その後 P&G ジャパンに転職。ブランドマネージャーとして活躍後、2020 年、Marketing Demo 株式会社を創業。

■日本のマーケティングにイノベーションを起こすMarketing Demo社とは

Marketing Demo 社についてお聞かせください。

石井: 当社は、「町のパン屋さんでもマーケティングができる世界」を目指して 2020 年 7 月に創業しました。2021 年 9 月現在で社員は 11 名、業務委託などで手伝っていただいている方も含めると 20 名ほどの所帯になります。私が P&G でマーケティングのブランドマネージャーとして勤めていたころ、P&G では普通に行われていたマーケティングが、他の会社では普通ではないと気づいたことが起業のヒントになりました。社名は、マーケティングの「お手本を見せる (Demonstrate)」、マーケティングを「民主化する (Democracy)」というコンセプトを反映しています。

どのような特徴を持った会社なのでしょう?

石井: 当社では現在、オンライン デプス インタビュー ツール「リサーチ DEMO!」を軸にしたマーケティング支援サービスを主に展開しており、幅広いユーザーの皆さまがマーケティングを活用して事業展開する、すなわち「マーケティングの民主化」のサポートを、ひとつの軸としています。

そしてもうひとつ、「マーケティングのお手本を示す」と謳っているとおり、「自らがマーケティングを活用して商品を売ること」にも重きを置いています。つまり、売るものにはこだわらずに「つくりたいものをつくりたいときにつくって、自分たちのマーケティングの力で売る」ということですね。今も DtoC のブランド立ち上げに取り組んでいますし、今後も業種・業態にこだわらず、いろいろなことに挑戦していきたいと考えています。

■繋がりたいときに繋がれるオンライン デプス インタビュー ツール「リサーチ DEMO!」

–貴社の主力サービス「リサーチ DEMO!」についてお聞かせください。

石井: 私は P&G に勤めていたころ、年間何百回も定性調査に携わっていました。当時の方法だと、1 回の定性調査にかかるリードタイムは 1~2 か月、金額も数百万円単位という状況でした。そこで、「すべてのマーケターや商品開発部の人たちが、自分のデスクから常に消費者とコネクトできて、気になることがあればすぐに確認でき、その結果をイノベーションに生かせるようになるべき」という思いからつくったのが「リサーチ DEMO!」です。

例えるとすれば、従来の定性調査サービスが、1 件 1 件電話で条件を確認・調整する結婚相談所のマッチングのようなものだとすると、「リサーチ DEMO!」は気軽にいろいろな人たちと出会えるマッチングアプリの立ち位置です。座談会のモデレーター手配やレポート作成などの Nice to have な機能は省き、Must to have な機能に絞っているので、従来の定性調査と比べてコストを大きく下げられ、最短で翌日には消費者と話せる「繋がりたいときに繋がれる」点が大きな特徴です。

このサービスに込められた思いについて、もう少しお聞かせください。

石井: 私は、今の日本に足りていないのは「人が求めているものをつくる」視点だと思っています。「自分たちがつくりたいもの」も大切ですが、そればかり追求することで、無闇に高機能な携帯電話やテレビがつくり出されるといった、消費者とのミスマッチが起きてしまう。そうではなくて、本当に消費者から求められるものづくりができる土壌を、当社のプロダクトでつくり出していきたいのです。

1 つ事例を挙げると、ある企業が、社員やその周辺の人たちの意見を参考にして新規製品を企画しようとされていました。そこで当社から「リサーチ DEMO!」の利用をご提案して一般消費者の意見を聞いてみたところ、全く異なる結果が出たんです。会社に近い立場にいる人には、大きなバイアスがかかっていたんですね。担当の方は、バイアスのかかっていないインサイトを、しかも自社の人間に聞くより手軽に取得することができて驚いていました。この事例を見てもわかるように、「リサーチ DEMO!」は企業と消費者の橋渡し役になれるサービスだと考えています。

どのようなユーザーや活用シーンを想定されていますか?

石井: 現状、定性調査や消費者インタビューを活用しているのは主に東証一部に上場している規模の BtoC 企業です。当社のクライアントも、今はエンタープライズの企業さまが中心です。こうした企業さまに関しては、「リサーチ DEMO!」を既存調査の代わりにご利用いただき、コストや時間をカットして本質的なプロダクトのイノベーションやマーケティングに予算をかけていただきたいと思っています。

一方、これから私たちが取り組んでいきたいのは、お金や時間の制約があって調査ができない中堅・中小企業さまのビジネスを「リサーチ DEMO!」でお手伝いすることです。中堅・中小企業さまの商品は、経営者のパッションがベースになっていることが多いのですが、そこに消費者の声というスパイスを加えてみませんか? という提案をしていきたいんです。例えば、スタートアップの DtoC ブランドが、予算がないなかでも当社のサービスを使ってインサイトを取得し、商品の立ち上げに生かして大成功した!なんてことになったら、素敵じゃないですか。

■「リサーチ DEMO!」活用事例

一般社団法人 未来技術推進委員会 箕輪さま

プロダクトを開発するにあたり、半年ほど自分だけで思案を重ねていた箕輪さまですが、次第に行き詰まり、「リサーチ DEMO!」の利用を決めたそうです。

初回利用後は、「勉強になるものの、次につながらない」と感じたそうですが、Marketing Demo 社のフォローにより、インタビューの実施目的が明確になり、聞くべきことも自然と浮かんでくるようになったとのこと。それ以降は「今回のインタビューでこれを確認する、それを踏まえて次はこれをする」というサイクルを繰り返し、仮説を検証することができたそうです。

「インタビューで課題の正しさを確かに感じることができました。サービスのユーザーにアンケートを取ったこともあるのですが、ユーザーとして深い話が聞ける一方で、気を使わせていると思うこともあり、なんでも気兼ねなく聞ける「リサーチ DEMO!」の利点を実感しました」(箕輪さま)

未来技術推進委員会 HP: https://future-tech-association.org/

■マーケティングをより身近に、より便利に

「リサーチ DEMO!」は社会や消費者に対してどのようなインパクトをもたらせるとお考えですか?

石井: まず、社内における検討の起点が消費者になるということですね。プロジェクトを進めるうえで、これまでは社内で検討して、ほぼ決まりつつあることの確認として定性調査を行なっていたのが、「どちらのネーミングがいいだろう」「どちらの色がいいだろう」といった細かい疑問、さらには「普段消費者はどんなことを考えているのだろう」「ゆうべの食事では何を食べたんだろう」といったレベルで消費者と向き合えるようになるはずです。

その結果をプロダクトに反映できるわけですから、より消費者起点のイノベーションが増えて、結果として業界全体の売り上げにも貢献できる。さらに、よい商品が出回ることで、私たちも消費者として利益を受けることができる。「リサーチ DEMO!」はこの循環をつくり出せる商品だと思っています。また、商品だけではなく、店頭づくりやプライベートブランド開発などにも役立てていただけると考えています。

「リサーチ DEMO!」の課題や今後の展開についてお聞かせください。

石井: 直近の課題としては、企業側、消費者側もユーザーを増やしていくこと。さらに、企業さまのどんな依頼に対しても、条件を満たす消費者さまをマッチングできるように、質の高い消費者側ユーザーを確保することですね。現状、UI や報酬といった面でユーザーに選んでいただけるよう差別化を図っていますが、今後さらなる工夫が必要になってくると思います。

長期的な課題としては、より多くのユーザーが便利に使えるサービスにするための機能向上です。例えば、一般消費者だけでなく専門性を持った人材へのインタビューを可能にする、技術的な面でいえば、AI でインタビュー中の表情や音声から感情を分析したり、インタビューを自動で文字起こしして、話題のポイントを可視化したりすることで、さらに上の次元のインサイトを得るといった機能の向上を考えています。

■日本マイクロソフトのサポートを得て、日本のマーケティングを変えていく

Microsoft for Startups に採択されたことで生じた変化をお聞かせください。

石井: まず 2 年間 1,200 万円相当の Microsoft Azure 無償利用枠は、安心してサーバーの拡張や機能の追加などを行えるので、当社のようなスタートアップにとって不安要素の 1 つである経営の安定化という意味で、非常に助かっています。

またサービス開発における技術的な面でも手厚く支援していただいていますが、なにより私がありがたく感じているのは、共同マーケティングやエンタープライズ企業への紹介、共同販売といったところまで、一気通貫で受けられるビジネス支援です。

当社の場合、日本マイクロソフトから LINE 株式会社さまとの連携をご提案いただき、さらにその先の、リテール業界のエンタープライズ企業さまとも繋がることができました。これは当社のような創業 1 年目の企業の力ではとても考えられない、日本マイクロソフトの後押しがあったからこそ得られたコラボレーションだと思いますし、非常に光栄に感じています。

Microsoft for Startups への期待や今後の展望についてお聞かせください。

石井: 期待というとおこがましいですが、先ほど「リサーチ DEMO!」の課題としてあげた感情分析などは、技術的には実現可能と聞いていますので、共同で開発を進めていければと考えています。スタートアップ企業である私たちだけではリソースが足りない部分もありますので、ぜひ日本マイクロソフトのグローバルな知見やナレッジをお借りして、サービスの満足度を上げていきたいと思います。

また、日本マイクロソフトが持つ膨大な顧客には、当然私たちの顧客となり得る企業さまも含まれていますから、日本マイクロソフトに橋渡ししていただくことで、より多くの企業さまとのつながりをつくり、皆さまと一緒に日本のマーケティングを変えるお手伝いをしていければと思っています。