最先端のデジタルバンクをクラウドで実現する Backbase
デジタルバンキングの実現に向けた課題とは
ここ数年で、「デジタルバンキング」という言葉はすっかり市民権を得て、金融機関の DX における中核を担う概念となりました。デジタルバンキングとは、単に顧客と接するチャネルをオンラインにするというだけでなく、顧客の状況を共有しながらオムニチャネルかつリアルタイムで質の高い顧客体験を提供することに他なりません。
真のデジタルバンキングの実現には、内外のさまざまなデータを活用した継続的な改善活動が重要です。マイクロソフトはそれを「デジタル フィードバック ループ」と呼んでいます。
そこには 3 つのステップがあります。①現場からデータを取得し集約する、②データを統合・分析してインサイト (洞察) を得る、③アクションを起こす、です。このループを回し続けることで、デジタルバンキングのサービス、また社内業務や社員の働き方などの継続的な改善が可能になるという考え方です。
金融機関がミッション クリティカルな基幹系を運用しつつ、SoE (Systems of Engagement) の領域でデジタル フィードバック ループを実現し、フィンテック時代における最高の顧客体験を実現することは容易ではありません。
例えばほとんどの銀行は、コールセンター、ATM、インターネット、モバイルなど、多くのチャネルがサイロ化されており、テクノロジの分断が起きているため、データを集約しにくいアーキテクチャーになっています。
したがって、デジタル戦略のコアに据えるべき「顧客体験の向上」を優先課題としてプロジェクト化する文化や基準、ルーチンが備わっていないケースが多いのが実情です。この状態から、データを集めて最高の顧客体験を作り上げるためには年単位の時間と多額のコストがかかります。
デジタルバンキングに関しては、顧客体験のベストプラクティスを実装したソリューションがすでに市場で提供されており、銀行はそうした製品を活用することでTime to Marketを短縮することが可能となります。
本稿では、デジタルバンキングのソリューションを提供する Backbase 社の森田大樹氏に、同社のソリューション概要についてお話を伺いました。
デジタルバンキング ソリューションを提供する Backbase
日本マイクロソフト 藤井: 本日はよろしくお願いします。まず、貴社の概要について教えていただけますか?
Backbase 森田: はい、Backbase はオランダ・アムステルダムに本拠点を置く、金融機関向けデジタルバンキング プラットフォームのソフトウェアの提供及びサポートを事業とするテクノロジ企業となります。2003 年の創業より一貫して、金融機関のデジタルフロントエンドを手掛ける専業ソフトウェア企業です。
これまで、シティバンク、HSBC、バークレイズ、ゴールドマン・サックスなど世界 150 以上の銀行に対して、独創的なモジュール ソリューションと、サービスを提供してきた実績があります。
藤井: 昨年、日本にも拠点を設立されました。日本市場においても本格的にビジネスを拡大されると伺っています。貴社では日本市場をどのように見られているのでしょうか?
森田: 昨年の 11 月に日本法人「Backbase Japan 株式会社」を設立し、日本の金融機関に向けて本格的に営業活動を開始しました。日本法人の責任者として、ジェイソン・リーが就任し、日本・韓国の Backbase のサービス開発・ビジネス成長を進めていきます。
また、Backbase のリサーチ「日本におけるデジタルバンキングの消費者動向調査」によると、日本市場では、銀行利用者の 5 人に 3 人がデジタルバンキングへの利用を検討、移行を行う可能性が高いということが判明しています。そして、日本政府では、2025 年までにキャッシュレス決済の比率を 40%、最終的には 80% に倍増させ、労働生産性を促進するという計画を発表しています。
このような状況下で Backbase が日本法人を設立することで、急速に広がる銀行や金融機関のデジタルバンキングに対する需要に応えていくことができると考えています。
藤井: まさに現在、日本においてもデジタルバンキングの波が訪れているというわけですね。貴社のソリューションについて特徴を教えていただけますか?
森田: 弊社ソフトウェア製品である Backbase Engagement Banking Platform を通して、金融機関様が提供するデジタルサービスにおける課題解決を実現します。マイクロサービス化されたプラットフォーム技術と、デジタルタッチポイント上のアプリ (Web/モバイル) の提供が可能なことが特徴です。
- Backbase Engagement Banking Platform は、デジタルバンキング関連マイクロサービスと、Digital Sales や Identity管理、セキュリティ管理、Engagement 管理といった金融機関がデジタルサービスを展開していくのにあたって必要となってくる機能群が、クラウドネイティブの形でパッケージング化されています。
- Backbase Engagement Platform と対になる形で、プレゼンテーション レイヤーにおける対顧客向けアプリ (Web/モバイル)、従業員向けアプリ (Web)、入会・口座開設/ローン申し込み等のビジネスプロセスのケースマネジメントエンジンを提供しています。
弊社のこれらのプラットフォームは、銀行 (リテール・SME バンキング) に加えて、証券、クレジットカード、ノンバンクの企業様にもご活用いただける機能を提供しています。
藤井: 最近のトレンドでもあるオープンバンキングや Embedded Finance の文脈で、貴社ソリューションは金融機関にどのような恩恵をもたらすでしょうか?
森田: Backbase Engagement Banking Platform は、金融機関がオープンバンキングに対応していくことができるようデザインがされたデジタルバンキング プラットフォームです。プラットフォーム上で実現可能な機能の一例として、他行を含む複数口座・金融商品をアグリゲーションして顧客に見せていくことや、金融グレードのセキュリティを担保した形で Consent Management (アクセス同意) の仕組みを作り、顧客に負荷を与えない形でセキュアな認証の仕組みを構築していくことが可能です。
Embedded Finance においては、Backbase Engagement Banking Platform のフレキシブルなアーキテクチャーにより、ユースケース、タッチポイント、チャネル関わらず金融機関が提供する金融サービスを最適な形で提供することが可能になります。
Backbase Engagement Banking Platform からプレゼンテーション レイヤーとのやり取りは、全て OpenAPI フォーマットに準拠したドキュメント化がなされています。そのため、金融機関が Backbase を導入することで、事業者がスムーズに自社のサービスに金融サービスを組み込んでいく支援が可能になります。
藤井: 日本市場における今後の計画、また日本支社の拡大予定などについて教えてください。
森田: グローバルから見て、日本市場は最優先市場の 1 つとなっています。すでに日本国内の金融機関様から多くのお引き合いをいただき、需要がある旨把握をしていますので、今後も国内人員の積極採用やローカライズ対応をはじめ、さまざまな投資を実施していくことを予定しています。
藤井: 最後の質問となりますが、貴社はマイクロソフトとグローバルでパートナーシップを締結しており、Microsoft Enterprise Accelerator – Fintech/Insurtech にも参加いただいています。グローバルでのマイクロソフトとの協働、日本市場におけるマイクロソフトへの期待などについて教えてください。
森田: グローバルではマイクロソフト様とのパートナーシップのもと、数多くの金融機関のデジタルトランスフォーメーションを支援しました。特にマイクロソフト様の Microsoft Azure 上で Backbase Engagement Platform を稼働することでスピードと柔軟性を両立した形で金融機関のデジタルタッチポイントの強化を成功させて来ました。
これまで製品の可用性やセキュリティを高められ、今日の日本の金融業界を支えているマイクロソフト様はまさに弊社のミッションクリティカルな製品を運用するためのベストパートナーであると確信しています。
お客様の業務を深く理解され、金融業界のお客様の信頼を集めるマイクロソフト様と共に互いの強みを活かしながら一緒に事業を成長させたいと強く願っています。
藤井: ありがとうございました。ぜひ一緒に、日本のデジタルバンキングを盛り上げていきましょう!