製造工場の現場で、女性従業員が 2 つの巨大な青いタンクの前を歩いて横切っている様子。彼女はヘルメットと保護メガネを装着し、閉じたタブレットを小脇に抱えている。

※本ブログは、米国時間 2021 年 5 月 20 日に公開された 3 ways Microsoft accelerates R&D for semiconductor manufacturers の翻訳です。
※下記で紹介しているイベントコンテンツは、すべて英語で提供されています。

2021 年の第 1 四半期には、前例のない半導体の供給不足が発生しました。これらの便利な小型電子部品は、コンピューターや自動車、レジやキッチン家電といった、あらゆるものに搭載されるかけがえのない存在であるにもかかわらず、業種によっては見つけるのが不可能に近い状態に陥ったのです。発注から納品までにかかる時間は、2020 年初頭の 12 週間から 15 週間へと一気に膨れ上がり、22 週間かかることもありました1。このような半導体の供給不足は、国内調達の強化を急ぐ世界中の国々を、半導体への数十億ドル規模の投資へと駆り立てました2

製造業向け Microsoft Cloud では、半導体メーカーが現在の課題に対処し、将来成功を収めることができるようにするための取り組みを進めています。当社は、研究開発プロセスを真のイノベーションを育むものにするという半導体メーカーの緊急のニーズを理解しています。新製品によって、企業は競争力を得て、新規顧客を引き込み、市場シェアと収益を拡大させることができます。
マイクロソフトでは、半導体メーカーによる研究開発のさらなる効率化を以下の 3 つの方法で支援しています。

1. スケーラブルなシリコン設計

シリコン設計は、複雑なツールや高パフォーマンスのコンピューティング ファーム (高スループットの NFS ストレージや専用ネットワーク アーキテクチャなど) に依存します。

当社のお客様は、規模と多様性を兼ね備えたリソースへの柔軟なアクセスが得られるため、オンデマンドでスケーリングして、ワークロードを適切な VM 構成にマッピングすることで、処理を拡大または縮小することができます。これにより、チップ設計フローの主要段階の速やかな回転が可能になります。

Microsoft Azure は、業界標準のスケーリング ツール (LSF、UGE、Altair など) や NFS ストレージ ソリューション (NetApp など) へのコネクタを提供して、既存のオンプレミス構成との統合を簡素化することで、ワークロードの拡張、ハイブリッド化、あるいはクラウドへの移行を容易にし、非常に高負荷なチップ設計ワークロードに必要な低待機時間、高スループット、高 IOPS を実現します。

また、Azure のサービスとツールは、EDA (電子設計自動化) のワークフローで使用される設計環境やコラボレーション環境の最適化にも役立つため、チームの作業を効率化できます。さらに Azure は、組織がワークフローのパフォーマンスとコストの適切な組み合わせを選択できるメカニズムも備えています。
クラウド コンピューティングの観点から、Azure が HPC プラットフォームとして提供するセキュリティ、信頼性、パフォーマンス、およびスケーラビリティは、EDA に無理なく適合します。そのうえ、絶えず進化を遂げている Azure によって、お客様は市場で提供される最新のテクノロジを導入することが可能になります。

2. 安全なコラボレーション環境

マイクロソフトでは、安全でスケーラブルな、高パフォーマンスの設計環境を求める業界のニーズに応えるべく、Azure HPC Workbench の開発を進めています。

インテリジェントなフル マネージド型のシリコン設計環境である Azure HPC Workbench は、多層化されたセキュリティやアクセス制御と、必要に応じて Azure を大規模に利用できる機能を兼ね備えています。

その主な利点には、高パフォーマンスのシリコン設計ワークロードに合わせて調整された、スケーラブルで回復力の高いコンピューティング プラットフォームや、複数のデザイン チーム間で IP (知的財産) を共有して共同設計することが可能な信頼できる環境のほか、独自の ID 管理ソリューションとアクセス制御ソリューションによる強化されたセキュリティとプライバシーなどが挙げられます。

3. 安全で回復力の高いサプライ チェーンの構築

大まかに言うと、半導体のサプライ チェーンには、研究開発、設計、生産、および流通が含まれます。

サプライ チェーンがこのように複雑であるため、メーカーは半導体のすべての工程で安全性を確保する必要があります。たとえば、米国政府はマイクロエレクトロニクス分野でのリーダーシップを維持するため、”Rapid Assured Microelectronics Prototypes (RAMP) using Advanced Commercial Capabilities Project” を通じて防衛および重要基盤に対する厳しいサプライ チェーン要件に準拠するようサプライヤーに要請しています。

RAMP は、防衛産業で使用されるコンポーネントをはじめ、最高レベルの保護を必要とするミッション クリティカルなシステムの米国内におけるサプライ チェーンの安全確保に焦点を当てた、きわめて重要なイニシアチブです。

ほかにも、半導体の製造とテストの合理化や最適化を行ううえで、高度な分析と機械学習が重要になります。製造会社、IDM (垂直統合型デバイス メーカー)、そしてファブレス企業が、こぞってそれらの手順を可能な限り自動化しようと試みています。

当社では、半導体メーカーの市場投入までの時間を短縮して、ROI の向上を実現するために取り組んでいます。Microsoft HoloLens を利用することで、製造技術者はホログラムによる実際の手順に従って進めることができるため、複雑な作業をより迅速かつ正確に行えるようになります。

またマイクロソフトでは、AR、IoT、およびクリーンルームのコンプライアンスに準拠したデバイスを組み合わせた統合ソリューション “Digital Manufacturing Technician” を開発中で、必要に応じて時間や場所を問わず利用できるトレーニングやタスクの実行、リアルタイム データの提供を目指しています。

これまで、可視性、品目レベルのトレーサビリティ、予測可能性が欠如していたことにより、サプライ チェーンの運営に悪影響が生じていました。これは、世界で最も先進的なサプライ チェーン管理を導入している企業でも同様です。こうした悪影響は、支出の増大、エラー、不正のリスク、セキュリティ サイバー攻撃、偽造品、紛争鉱物の使用などにつながります。Azure のサプライ チェーンでは、これらの課題への対応においてマイクロソフトのブロックチェーン プラットフォームの展開を進めています。品目を共有データ構造でデジタル化することによって、既に数千万ドルの隠れたコストを見つけ出し、エンドツーエンドの品目レベルのトレーサビリティを向上させ、サイクル時間を短縮し、利益を拡大しています。

半導体の研究開発の向上における課題への対応

製品の刷新サイクルの短縮、頻繁な標準の見直し、パフォーマンス向上の絶え間ないニーズにより、設計サイクルや市場投入までの時間が圧縮されています。設計がますます複雑化するなか、組織は開発のあらゆる段階で設計フローの向上と包括的検証を行う必要があります。

マイクロソフトは、シリコン設計に最適なソリューションです。当社が重点的に取り組んでいるツールやテクノロジは、半導体業界における当社最大規模のお客様のいくつかで既に成功裏に利用されています。

半導体業界向け Azure (英語) の詳細をご確認ください。

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1「How a Chip Shortage Snarled Everything from Phones to Cars」、Bloomberg、2021 年 3 月 28 日
2「Semiconductors: Nations deploy wartime-like efforts to win chip race」 (cnbc.com)