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マイクロソフトでは、お客様のデジタル トランスフォーメーションを支援するために、様々な最新テクノロジの研究開発を継続的に実施しています。今回はマイクロソフトが現在、最も注力して研究開発している「AI (人工知能)」「IoT (モノのインターネット)」「MR (複合現実)」の 3 つの領域における取り組みを、日本マイクロソフトで CTO (最高技術責任者) を務める榊原 彰が解説します。

世界最高水準の AI 技術の民主化を推進

デジタル トランスフォーメーションの実現には、最新テクノロジが重要なカギを握ります。こうした観点からマイクロソフトでは、現在そして未来を見据えた研究開発を行っています。その 1 つが AI (人工知能) です。

ひょっとしたらマイクロソフトに AI のイメージがない方もいらっしゃるかも知れません。しかし実はこれまで約 25年にわたって AI に投資してきた実績があります。2016 年には、AI に関するコンピューター サイエンティストやエンジニアが 5000 人以上集結した、世界最高レベルの研究組織「Microsoft AI and Research Group」を設立しています。

こうした研究開発活動における成果は、お客様に提供する製品やサービスに反映されています。最近の例では Office 365 の新版に搭載した「Office Delve」と「MyAnalytics (旧 Delve Analytics)」という機能が、これに当てはまります。Office Delve を利用すると、例えばある顧客へ訪問する際に、その顧客に関連する資料や過去に接触履歴のある社員を提示してくれます。一方の MyAnalytics は、Office 365 の利用履歴を分析して、個々人の時間の使い方を可視化するとともに、働き方の改善点を提案してくれるのです。

2016 年 11 月から提供を開始した統合業務システムのクラウド サービス「Dynamics 365」でも AI を活用しています。AI が「見込み客の提案」や「在庫の予測」などの処理を実行するのです。Windows 10 が標準搭載するパーソナル アシスタント「Cortana」も、AI に関する研究開発活動の中から生まれたものです。Cortana は、今や iOS や Android のデバイス上でも稼働して利用者の音声を認識し、これまでに 1 億 3100 万のユーザーから、120 億超の質問に回答してきました。

これらのインテリジェントな機能のベースとなっているのが「コグニティブ (認知) 」と「機械学習」という技術です。マイクロソフトでは、これらの技術を自社の製品やサービスに反映するだけではなく、お客様に容易に利用していただくような環境もつくっています。それが「Microsoft Cognitive Services」および「Azure Machine Learning」と名付けたクラウド サービスです。
 
マイクロソフトが開発した AI 技術をお客様の ICT システムで利用するためのインタフェース (API) を提供しているため、すぐにでも利用することが可能です。さらに安価な従量料金で利用できるので、通常 AI を活用したシステムにかかる膨大な初期投資が不要。小規模なシステムから取り組み始めて、ビジネスの成長に合わせて柔軟にシステムの規模を拡張することが可能です。
 
さらに、機械学習の中でも特に深層学習を活用した学習モデルを構築し稼働させるためのフレームワークである「Microsoft Cognitive Toolkit」をオープンソース ソフトウェアとして公開しています。これを活用してシステムを構築する企業も急速に増えており、日本では三井住友銀行が対話型の自動応答システムを構築しています。
 
このほか、人間と対話するエージェント機能の研究開発にも取り組んでいます。このような機能は一般に「ボット」と呼ばれており、ローソンをはじめ自社のビジネスにマイクロソフトのサービスを活用している企業が増えつつあります。
 
AI のような最新テクノロジは、導入にコストがかかるので、これまでは大企業しか利用できませんでした。しかしマイクロソフトでは、お客様、そして社会全体の成長のために、AI を皆が気軽に利用できるような「AI の民主化 (Democratizing AI) 」を推進したいと考えています。現在、「みんなの AI (AI for Everyone) 」というスローガンを掲げて、全世界でこれに取り組んでいるところです。

IoT のシステムをわずか 20 分で稼働可能に

IoT に関しては、今後あらゆる業界でビジネスでの実用化が加速していくでしょう。その市場へ向けて、数多くの ICT ベンダーが様々なソリューションを提案している段階です。中には自社が得意な領域に特化しているベンダーもありますが、マイクロソフトでは全方位にわたった開発を行っているところが大きな特長です。

IoT に関するシステムでは、センサーをはじめとする多様なデバイスから吸い上げた膨大な量のデータをリアルタイムに近い状態で分析・加工する仕組みが必要とされます。多様なデバイス、および様々な要素、技術を組み合わせなければなりません。マイクロソフトは、これらの全てをサポートしているのです。

このようなシステムを利用企業が自前で構築し、稼働させるまでには長い期間を要します。ハードウェアやソフトウェアの調達、そしてシステムの構築・検証までの期間を含めると、本格稼働までに数カ月から年単位の期間が必要になるでしょう。これだけの時間が経過すると、システムが稼働するころには検討当初とはビジネスの要件が変わってしまう可能性があります。つまり、IoT に関するシステムでは、稼働までの期間をいかに短縮するかが大きな課題となっているわけです。

この課題を解決するために、マイクロソフトでは IoT に必要な機能を統合したプラットフォームを提供しています。それが、2015 年から提供を開始したクラウド サービス「Azure IoT Suite」です。

Azure IoT Suite は、遠隔監視や予兆保守など、IoT に関するアプリケーションがあらかじめ利用可能な状態で用意されています。データベースや分析ツールなどをお客様が個々に用意する必要はありません。クラウド上のメニューを選択して必要となる情報を数個入力し開始ボタンを押すだけで、わずか 20 分でシステムを立ち上げられます。その一方で、BI (ビジネス インテリジェンス) ツールなど、お客様が既にお持ちのツールを組み合わせることも可能になっています。Cognitive Services と同様に、膨大な初期投資を必要とせずに、スモール スタートで導入・運用できるというメリットもあります。

既に、このサービスを利用して大きな成果を上げているお客様もいます。航空機エンジンを製造・販売するロールスロイスは、自社のジェットエンジンに取り付けた無数のセンサーから収集するデータに加えて、顧客である空輸会社が運用中の航空機から収集するデータを併せて分析することによって、エンジンの予兆保全の質を向上し、その結果エンジンの故障率の低減、燃費効率の向上、航空機の稼働率向上といった効果を生み出し、自社のみならず顧客企業と Win-Win の関係を築いています。

国内でも、竹中工務店がマイクロソフトと連携して、次世代建物管理システムを構築しています。様々な設備や環境センサーを相互に接続し、統合的なモニタリングと分析、設備管理者の知見の学習によって、建物管理負荷軽減と利用者の快適性、生産性向上、エネルギー効率、運用管理コスト最適化を実現しています。

ビジネスの現実世界に MR が新たな価値を創出

 
MR とは、現実の世界と CG などで作られた仮想世界を組み合わせる技術。現実世界と仮想世界を融合させて、新たな価値を創出するための技術です。

ゲーム機向けに VR (仮想現実) を実現するヘッド・マウント・ディスプレイ (HMD) が 2016 年に製品化されて話題となったことをご記憶の方も多いでしょう。VR と MR は一見すると似たような技術に思えるかもしれませんが、根本的な違いがあります。それは、VR は視界の全てが仮想世界になるのに対して、MR は現実世界の中に仮想的な映像を投影して新たな価値を付加するところです。この点において、MR はビジネス上での応用範囲が広いといえます。

このほか、ゲーム機向けに製品化された HMD があくまでディスプレイという周辺機器であるのに対して、HoloLens はそれ自体が Windows 10 をベースとした PC であるという違いもあります。HoloLens では、利用者のジェスチャーによってアプリケーションを操作することが可能で、Web ブラウザや Office ツールといった従来からなじみのある Windows アプリケーションを起動して操作することも可能です。

HoloLens を導入して、ビジネスの生産性を大きく向上しているお客様の事例を紹介しましょう。ドイツの鉄鋼・工業製品メーカーであるティッセンクルップの取り組みです。
同社は、顧客企業のエレベーターの運用サービスを提供しています。このサービスの中で、同社のセンターでエレベーターを遠隔監視し、不具合があれば修理するという取り組みに HoloLens を導入し、業務を効率化すべく取り組みを進めている最中です。

エレベーターの故障がセンターにアラートされた場合、現場に行く前に HoloLens でエレベーターの 3 次元画像を投影し、修理のシミュレーションを行っています。現場では、HoloLens を装着したまま修理に取り組みます。故障箇所の現実映像の上に、エレベーターの製品情報や修理履歴、故障の箇所に応じた修理情報などを呼び出せます。修理作業の途中で何らかの課題に遭遇した際には、オンライン会議のクラウド サービスである Skype で画面上に、より専門的な知識を持つ同僚を呼び出し、対話しながら故障個所を見てもらってアドバイスや指示を受けるといったことも可能です。HoloLens を活用することによって、その場で修理できずにいったんオフィスに引き返すというケースが減る効果を見込んでいます。

マイクロソフトは、このほかにも様々な最新テクノロジの研究開発に取り組んでいます。こうした取り組みは、マイクロソフトの CEO (最高経営責任者) であるサティア・ナデラが打ち出した「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」という企業ミッションに基づいたものです。
デジタル技術はそれだけで意味があるものではなく、常に人のためにあるもの。その理念にもとづき、マイクロソフトではこれからも最新テクノロジの探究を行っていくつもりです。

関連リンク

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